車を使っていると、事故やトラブルによって故障することがあります。故障時には修理で対応することが多いですが、費用が高額になることも少なくありません。修理代の負担を少なくするために車両保険というものがありますが、これは適用の条件が決まっています。 また、適切な使いどころもあり、必ずしも加入、適用がお得とは限りません。車の修理と車両保険の関係を理解して、上手に利用しましょう。
目次
車両保険とは
そもそも車両保険とは、任意保険のひとつであり、民間の保険会社が提供しているサービスです。車を使用するには、強制保険の自賠責保険への加入が必須ですが、車両保険は任意のため、必須ではありません。 加入するには保険料の支払いが必要であり、高額になる場合も多いことから、自賠責保険しか加入していないという人も多いでしょう。別途保険に加入することになるため、負担が増えるのは確かですが、その分トラブルが起きた際の補償範囲も大きくなります。 自賠責保険だけではカバーしきれない部分も多いため、より手厚い補償を求めるために、任意の車両保険に加入する人は多いでしょう。
車両保険の種類と補償範囲
車両保険にも複数の種類があり、それぞれで補償の範囲が異なります。代表的な種類に分けると、エコノミー、車対車A+、通常の車両保険の3つです。エコノミーは保険料が安い分、補償の範囲が狭く、車の衝突による損傷にしか適用できません。車対車A+はさらに範囲が広がり、衝突から自然災害、盗難まで保険が適用できます。 通常の車両保険がもっとも保険料は高いですが、自損事故や当て逃げにも適用でき、補償の範囲は広いでしょう。車両保険に加入する場合は、保険料と補償の範囲を確認し、どれが自分に合っているかを選ぶことが大切です。
車両保険に入るメリットとデメリット
車両保険に加入すると、自賠責保険よりも補償の範囲が広がり、さらに安心して車に乗れます。加入にはメリットしかないようにも思えますが、実はデメリットも存在するため注意しなければなりません。 車両保険は任意で加入が必須でないだけに、メリット・デメリットの両面を見て決めることが大切です。それぞれを確認し、自分にとってどちらが大きくなるかで、加入の有無を決めると良いでしょう。
車両保険のメリット
車両保険のメリットは、補償の範囲が広く、複数のシーンで補償が受けられる点にあります。車両保険は文字通り、車が故障した場合の修理代を保険で捻出することができます。自賠責保険では、事故によって車が損傷した場合でも保険の適用対象とはならず、全額自己負担で対処しなければなりません。 修理代は損傷の程度によって違いますが、数十万円から、高いと100万円を超える場合もあります。高額な修理代でも保険を適用することで支払うことができ、愛車をより長く、安心して使えるのは車両保険に加入する大きなメリットでしょう。
車両保険のデメリット
車両保険のデメリットは、毎月の保険料支払いが増える点にあります。加入するプランや保険会社によって金額は違いますが、少なからず出費が増えることは確かです。出費を節約しようと安いプランに加入すると、適用対象が限定されていて、いざという時に使えないこともあります。 しかし、補償が充実したプランに加入すると、保険料が高くなるため、どの程度のプランに加入するのが適切なのか、迷いやすくもあるでしょう。 加えて、保険料は一定ではなく、保険の使用状況によって変動します。保険を使って補償を受けても、翌年度以降の支払いが増加することを考えて、使いどころを見極めづらいことも、デメリットのひとつです。
車の修理に車両保険を使うべきか
車が故障し、車両保険に加入しているなら、適用対象になる場合は保険を使うべきと思う人も多いでしょう。確かに保険を使うことで、修理代を捻出し、自己負担を減らすことができますが、必ずしも保険を使うことが適切とは限りません。 場合によっては保険を使わずに、自己負担で修理代を捻出したほうが良いこともあります。なぜ車の修理で車両保険を使うべきか考える必要があるのか、理由を知っておきましょう。
ノンフリート制度について
車両保険にはノンフリート制度が採用されており、これは保険を適用させると等級が下がり、翌年度以降の保険料支払い額が増えるというものです。保険を使うことで、直近の支払いは保険によって賄えますが、翌年度以降の支払いの増加を考えると、長期的に見て損をするケースもあります。 等級が下がるとしばらく保険料は高いままで、元の保険料に戻るまでには数年を要します。保険を使う場合は、保険料の増額を踏まえて、それでもお得になるかを考えなければなりません。
免責金額が定められている場合も
保険は種類によって内容が大きく違い、中には免責金額が定められているものもあります。免責金額とは、保険を適用する際でも支払いが必要な自己負担の金額のことであり、場合によってはこれが高額になることもあるでしょう。 修理代を見た時に、補償金額よりも免責金額の割合のほうが大きくなるようなら、適用させるべきではありません。自己負担が発生しても、それを上回って多額の補償が受けられる場合に限り、保険は使うようにしましょう。 プランによっては、条件付きで免責なしで保険が使えることもあるため、加入時には各種条件や特約も細かくチェックすることが大切です。
車の修理以外にも方法がある
車両保険を適用する場合、用途は修理に限られているわけではありません。例えば事故によって車が損傷し、修理代金があまりに高く付く場合は、修理はせずに廃車にして買い替えるのもひとつの手です。 この時、修理にかかる金額や車の時価額、保険のプランに応じて保険金が決定し、これをもらって買い替えの費用に充てることもできます。高いお金をかけて修理しても、何らかの不具合が残ることは多いです。損傷の程度が激しいなら、保険を使った買い替えも選択肢に考えておきましょう。
車両保険が不要になる場合
車両保険はあくまで任意であり、絶対に必要なわけではありません。特に乗っている車の価値が低く、時価額がほとんどないとみなされる場合は、加入するメリットはほとんどないでしょう。車両保険に加入しているからといって、発生した修理代全額を補償してもらえるわけではありません。 補償の上限額はプランによって決まっており、車の時価額、つまり、価値を参考に決定します。年式が古く、走行距離も長い中古車だと、時価額はほとんどないとみなされ、上限額も底値になります。 仮に上限いっぱいまで引き出せても保険金が少なく、保険料の出費のほうが痛手になるようなら、最初から加入する必要はないでしょう。故障したなら乗り捨てを考えている車の場合は、無理に車両保険に入る必要はありません。
もしもの時のために車両保険を知っておこう
車両保険はもしもの場合の助けになりますが、加入が必須なわけではありません。条件次第では、加入しないほうが良い場合もあります。上手に使って得をするためにも、車両保険への理解を深め、本当にメリットになる場合のみ加入するようにしましょう。