車を使用するには「自動車税」「自動車重量税」などの税金を支払わなければなりません。これらが未納だと、使用に際して制限が出るだけではなく、廃車時にも影響することがあります。税金未納の状態だと、廃車できないと考える人は多いですが、実は必ずしもそうとは限りません。廃車の可否は状況によって異なるため、廃車と税金の関係を知り、廃車時に役立ててください。
目次
税金が未納の場合の廃車手続きの可否
税金が未納でも廃車できる場合はありますが、当然できないこともあるため注意が必要です。税金未納といっても人によって状況は異なるため、どのような場合に廃車の可否が分かれるのか、知っておきましょう。
所有者名義が本人であればできる
所有者名義が本人にある場合は、税金が未納でも廃車は可能です。そもそも廃車は原則名義者本人しかおこなうことができず、他人の車を廃車するには名義変更の手続きが必要です。また、名義を変更しない場合でも、委任状を作成することによって廃車手続きの代行は可能ですが、税金の未納があることで、廃車手続きに制限がかかります。 名義者本人であれば、すべて自己責任で問題なくおこなえるため、税金が未納でも廃車手続きが滞ることはありません。
未納期間が2年を超えている場合はできない
税金が未納でも、所有者名義が本人の車なら廃車できますが、これは未納分が1年の場合に限られます。自動車税の未納期間が2年を超えている場合は、名義者本人でも廃車はできないため注意が必要です。税金は未納分が増えるほどに制限が厳しくなり、ペナルティも大きくなります。 未納分を納めない限り名義者でも廃車ができず、翌年度を迎えるとさらに自動車税は上乗せされてしまいます。使っていない車でも、名義が残っていると自動車税の課税対象になるため、課税を避けるには未納分を速やかに納め、すぐに廃車手続きをおこなわなければなりません。
未納のまま車検が切れていても廃車できる
税金が未納で、車検が切れている場合でも、自動車税の未納が1年分なら廃車は可能です。廃車の制限がかかるのは、あくまで「自動車税の未納」であり、「自動車重量税の未納」ではありません。重量税は車検を通すために必要なものであり、いわば車を公道で走らせるための税金です。 対して自動車税は車を所有することでかかる税金のため、持っているだけで毎年課税されます。車検切れの状態では公道を走らせることはできませんが、車検切れ自体が違法なわけではありません。廃車の可否に関係するのは「自動車税」に限られるため、この未納分がいくらあるか確認する必要があります。
税金が未納の場合の廃車手続きの流れ
税金が未納でも1年分であれば、廃車をおこなうことは可能です。そのため、税金が残ったまま廃車手続きをおこなうことも多く、この場合の手続きの進め方も知っておかなければなりません。税金が未納でも、基本的な廃車の手順は同じですが、細部に違いがあります。細かい違いに注目して、未納の場合はどのように廃車手続きをおこなうのか把握しておきましょう。
廃車の方法を決める
廃車する際には、まずは廃車の方法を決めなければなりません。廃車は「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2つに分けられ、それぞれで手順が異なります。永久抹消登録の場合、車の解体が必要なため、解体業者を探して車を引き渡します。 このとき「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書きがもらえ、これは廃車時に必要です。一時抹消登録の場合は、解体が不要であるため、すぐに手続きを進められます。廃車手続きは「自分でおこなう」「業者に代行依頼する」のどちらかになるため、自分に合った方法を選びましょう。 自分でおこなう場合は手間がかかるものの、費用は安く済ませやすいです。業者に代行依頼する場合は、手間が省ける分、手数料が発生します。しかし、廃車手続きを無料で代行する業者もあるため、これを利用することで、よりお得に廃車が可能です。
車を廃車するときにまず考えたいのが買取ですが、廃車買取業者はどのように選べばいいのかと悩んでしまう人は多いです。廃車買取の業者はたくさんありますが、どの業者を利用するかで買取時の値段などは大きく違ってきます。
運輸支局で廃車の手続きをおこなう
廃車の方法を決め、個人で廃車をおこなう場合は運輸支局で手続きをします。業者に代行してもらう場合は、必要書類を業者に引き渡して、後は手続きが完了するのを待つだけです。廃車時に必要な書類は、方法によって違うため注意しなければなりません。永久抹消登録に必要な書類は以下の通りです
- 所有者の印鑑証明書
- 車検証
- ナンバープレート前後面の2枚
- 「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書き
- 手数料納付書
- 永久抹消登録申請書
- 自動車税・自動車取得税申告書
手数料納付書以下の書類は、当日入手のため、業者に代行してもらう場合は不要です。業者代行の場合、委任状も必要となるため忘れないようにしましょう。一時抹消登録に必要な書類は以下の通りです。
- 所有者の印鑑証明書
- 車検証
- ナンバープレート前後面の2枚
- 手数料納付書
- 一時抹消登録申請書
- 自動車税・自動車取得税申告書
必要書類はある程度共通していますが、当日入手の書類は異なるため注意が必要です。また、一時抹消登録の場合、解体をしていないため「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書きは必要ありません。
税金未納のまま廃車手続きをおこなった後の注意点
税金が未納の場合でも、廃車手続きはおこなえますが、未納ならではの注意点もあります。本来なら滞納せずに支払わなければならないもののため、若干のペナルティは覚悟しなければなりません。未納時の廃車の注意点を知り、余計なリスクを抱えずにスムーズに手続きを完了させてください。
廃車にしても納税の義務はある
税金の支払い義務は廃車にしても消滅するわけではなく、未納分は必ず支払わなければなりません。廃車手続きが完了した後、延滞金を加算された請求書が届くため、金額を確認して速やかに納めましょう。放っておくとさらに延滞となってペナルティが科せられるため、請求書が届けばすぐに支払うことが大切です。 また、廃車方法によって税金の還付金が得られますが、税金の未納がある場合は、これに充当されます。未納額によっては還付金でも相殺できない可能性があるため、残っている場合は少額でもきちんと支払いましょう。
延滞利息は10%を超える
税金の未納分は放置しておくと延滞利息によって増え、自動車税は最大で10%を超えるため注意しなければなりません。自動車税の延滞利息は、最大で14.6%です。滞納し続けると、利息だけでもかなりの金額になるため、素早く納めることが大切です。 自動車税は毎年課税されるため、支払いに困る人も多いでしょうが、未納することでさらに経済的なリスクは大きくなります。滞納しないことが原則であるため、税金の支払い通知書を確認したら、すぐに支払いを済ませることが大切です。
自動車税の滞納はなるべく早めに解消しよう
自動車税は1年分なら未納でも廃車はできますが、廃車後も納税義務は残ります。税金は延滞利息によってどんどん増えるため、廃車の可否に関係なく、素早く支払うことが大切です。経済的な負担がもっとも少ないのは、税金がかかった段階で支払うことであるため、未納分を作らず、速やかに精算することを心がけてください。