ガソリンには【消費税、ガソリン税、石油石炭税】という税金がかかります。実際に支払っているガソリン代金の内訳をみると、約4割が税金となっていて、特に消費税については本体価格とガソリン税などの税金を合わせた価格に対し10%かかることから、税金に税金がかかる二重課税にあたるのでは?という声が上がっています。
ガソリン税の暫定税率を廃止する動きが昨年から話題になっていますが、こちらの記事では【ガソリン税】【ガソリン税暫定税率】【暫定税率廃止でどの位変わるのか】など、気になるポイントを詳しく解説します。
目次
ガソリン税とは

ガソリン税とは、揮発油税・地方揮発油税という国税のことです。課税物件は揮発油になります。
揮発油とは
ガソリン税における「揮発油」とは、【ガソリンなどの沸点が摂氏30度から200度の範囲の揮発性石油製品のこと】で、揮発油法では【温度15度において0.8017をこえない比重を有する炭化水素油のこと】と定められています。揮発油税は国税として徴収されて国の一般財源になり、地方揮発油税は国税として徴収された後に地方に譲与されて地方の一般財源となります。
揮発油と地方揮発油の本則税率は
揮発油税法によって、揮発油には揮発油税が課税されると定められています。揮発油の本則税率は、揮発油1キロリットルあたり24,300円となっています(1リットルにつき24.3円)。地方揮発油税の本則税率は、揮発油1キロリットルあたり4,400円です(1リットルにつき4.4円)。揮発油税と地方揮発油税を合算すると、1キロリットルあたり28,700円の税金がかかることになります(1リットルにつき28.7円)。
本則税率とは、本来適用されるべき【原則として定められた税率】のことです。ガソリン税については暫定税率の上乗せがあり、ベースとなる本則税率と暫定税率を合わせた税率がかかるため、実際に支払う税金は異なります。
次項ではガソリン税の暫定税率について解説します。
ガソリン税の暫定税率とは

ガソリン税の暫定税率制度は、1974年に道路整備の財源を確保する必要があったため作られました。前述したガソリン税の本則税率では、財源確保が難しく、財政難を理由に暫定税率が設定されて上乗せされることとなりました。そもそも期間限定の税制度だったのですが、2009年に道路特定財源制度が廃止となり、暫定税率は道路整備の財源としてではなく、国の一般財源としての顔を持ち実質的に恒久化されています。
現時点のガソリン税暫定税率は
令和7年10月時点のガソリン税暫定税率は、揮発油税1キロリットルあたり24,300円(1リットルにつき24.3円)、地方揮発油税1キロリットルあたり800円(1リットルにつき0.8円)となっています。合わせてガソリン税の暫定税率は1キロリットルあたり25,100円(1リットルにつき25.1円)となっています。
本則税率1キロリットルあたり28,700円(1リットルにつき28.7円)と、暫定税率1キロリットルあたり25,100円(1リットルにつき25.1円)を合算すると、1キロリットルあたり53,800円(1リットルにつき53.8円)のガソリン税が現時点でかかることがわかります。
暫定税率が廃止になると何が変わる
暫定税率は、本則税率に上乗せされる税率ですので、廃止になると1キロリットルあたり25,100円(1リットルにつき25.1円)の減税となります。53.8円から25.1円が減税となると、自動車の燃料にかかっている費用負担が大きく軽減されることは間違いありません。
次項では、ガソリン税暫定税率廃止によってどのくらいガソリン代金に違いが出るのか解説します。
ガソリンは1リットルあたりいくらになるの?

資源エネルギー庁による石油製品価格調査によると、2025年10月27日のレギュラーガソリンの全国平均現金価格は消費税込で174円/リットルとなっていました(参考値173.5)。前週と比べておよそ1円安くなっていて、3週連続の値下がりとなっています。
レギュラーガソリン代金174円/リットルの内訳
| ガソリン 本体価格 | ガソリン税 (本則税率) | ガソリン税 (暫定税率) | 石油・石炭税 | 消費税 (10%) | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 約103円 | 25.1円 | 28.7円 | 2.8円 | 15円 | 174円/L |
※石油・石炭税は、課税対象物(石油製品)の数量に定められた税率1キロリットルあたり2,800円(1リットルにつき2.8円)
単純にガソリン税の暫定税率が廃止になったと仮定して、上記から28.7円を引くと下記になります。
| ガソリン 本体価格 | ガソリン税 (本則税率) | 石油・石炭税 | 消費税 (10%) | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 約103円 | 25.1円 | 2.8円 | 13円 | 約144円/L |
一般的な2,000ccクラス(普通車)のガソリンタンクは約50リットルとなっており、満タン(50リットル)にするには、174円/Lで8,700円、144円/Lで7,200円かかる計算になります。レギュラー満タンにすると約1,500円の差が出るのであれば、かなりお得に感じるのではないでしょうか。
ガソリンの税金は二重取りされている?
ガソリンにかかる税金については、ガソリン本体価格・ガソリン税(本則税率・暫定税率)・石油石炭税の合計額に消費税がかかることから、税金に税金がかかる二重課税に当たるのではないかということが、話題に上がることがあります。
しかし、ガソリンにかかっている消費税についてはガソリンを購入する消費者に納税義務がありますが、ガソリン税(揮発油税・地方揮発油税)の納税義務者はガソリン販売する石油会社であるため、課税対象が異なっており二重課税にはあたらないとされています。
今後の揮発油税の税率は
財務省が令和7年5月に作成した自動車関係諸税・エネルギー関係諸税の資料によりますと、令和7年度の揮発油税及び地方揮発油税の課税内容は以下の通りになっています。
| 税目 | 課税物件 | 税率(本則税率) | 7年度税収 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 揮発油税 | 揮発油 | 48,600円/kl(24,300円/kl) | 19,760億円 | 国の一般財源 |
| 地方揮発油税 | 揮発油 | 5,200円/kl(4,400円/ kl) | 2,114億円 (うち地方譲与2,114億円) | 地方の一般財源として全額譲与 |
| 石油石炭税 | 原油・石油製品 | 2,800円/kl(2,040円/kl) | - | 燃料安定供給対策及びエネルギー需給構造高度化対策財源 |
上記表の通り、令和7年度揮発油税・地方揮発油税は、租税特別措置法により揮発油税が税率1キロリットルあたり48,600円(1リットルにつき48.6円)、地方揮発油税率が1キロリットルあたり5,200円(1リットルにつき5.2円)となっています。
※こちらの税率は、租税特別措置法による当分の間の税率です。
令和7年度揮発油税の本則税率は1リットルにつき24.3円なので24.3円が上乗せ、地方揮発油税の本則税率は1リットルにつき4,4円なので0.8円の上乗せとなります。
また、令和16年4月1日より、租税特別措置法による揮発油税率が1キロリットルあたり48,300円(1リットルにつき48.3円)、地方揮発油税率が1キロリットルあたり5,500円(1リットルにつき5.5円)となります。揮発油税の本則税率は1リットルにつき24円なので24.3円が上乗せ、地方揮発油税の本則税率は1リットルにつき4,7円なので、0.8円の上乗せとなります。
まとめ
今回の記事では、ガソリン税やガソリン税の暫定税率について詳しく解説しました。10月29日にあった報道内容では、与野党6党がガソリン税の暫定税率廃止の方針に合意したと伝えられていて、年内廃止の可能性もあるとされています。また、暫定税率廃止に向けて価格差による混乱が起きないようにガソリン補助金の上乗せも検討されていますので、車を利用する機会が少なからずあるという方は、今後の状況を細かくチェックしておかれることをおすすめします。



