車を停車する際、うっかりボディのサイドを擦ってしまったことがあるという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。こちらの記事を書いている筆者も、免許を取得してすぐに運転していた軽自動車を自宅の駐車スペースに駐車しようとして、うっかり入り口で切り替えを失敗し擦ってしまった経験があります。
このようにうっかり出来てしまった擦り傷は、車の鈑金・修理工場で修理を依頼すると、綺麗に修正がすることができると思います。ところがプロに依頼すると、数千円から数万円程度の費用がかかってしまうことが予想されます。
費用を抑えて、自宅で自分で補修する方法をご存知でしょうか?線キズや飛び石キズなど、大きくはないけど気になる小さなキズの補修はタッチペンで修理することが出来るのです。
ただし、あくまでの個人で行う修理ですので、失敗してしまうこともありますし、完璧にキズを隠すことは出来ません。
こちらでは、タッチペンを使って車の傷を修理する方法と、もし失敗してしまった時のために修正の方法も詳しく解説していきます。
目次
小さな傷ならタッチペンで修理しよう
車に傷ができてしまうと見栄えも悪くなり、すぐにでも修理したいと考える人は多いです。洗車してみて初めて気づく傷もありますが、見つけると悲しい気持ちになりますよね。
また、車の傷を放置したまま置いておくと、中から錆が発生して悪化することもあります。傷を広げないためにも、車の傷に気づいたら早めに対処することをおすすめします。 しかし、修理屋さんや板金業者に修理を依頼すると、手間もお金もかかるため、躊躇する人も多いでしょう。
修理工場に依頼した場合の修理費用の相場は
車のボディーなどについた線キズや、爪の先程度のヘコミを修理する場合の鈑金・修理工場へ依頼した場合の修理費用の相場というと、3,000円~20,000円前後となっています。これは、車のボディーカラーや車種によって異なりますので、まずは見積もりをとってみることが必要です。さらに、修理工場に依頼する場合は修理にかかる日数次第で代車を必要とすることもあります。この場合、代車の費用が別途かかります。
車傷は実は小さなものならタッチペンという道具を使って直せます。自分で修理する方法を知り、小さな傷はDIY補修で対応しましょう。
タッチペンで修理できる車の傷とは
車のDIYでの修理を考えるなら、どの程度の車の傷が補修できるのかを知ることが大切です。タッチペンを使うことで自分でも簡単に修理できますが、個人で行う補修には限界があります。傷の程度によっては業者に依頼したほうがよい場合もあるため、どこまで直せるのか知っておきましょう。
塗装剥がれはタッチペンで修理できる?
年式が10年弱となると、経年劣化がおこり塗装が剥がれてきてしまうこともありますが、小さなものならタッチペンで修理できます。ただし、塗装剥がれはボディの広範囲にまたがる場合があり、修理自体は可能ですが、手間がかかりやすいため、面倒なら業者に頼むことがおすすめです。また、塗装の剥がれ方にも注意が必要であり、個人で直せるのは表面が軽く剥がれたものに限られます。
内部まで深くえぐれている傷は、タッチペンだけでは修理できません。表面をカバーしても、内部に傷が残り、そこから腐食する危険性もあるため、傷が深いなら無理せず業者に直してもらいましょう。
こすり傷はタッチペンで修理できる?
ボディの側面や、タイヤハウスの近くに出来やすい引っかき傷や線傷といったこすり傷も、タッチペンで修理が可能です。これも塗装と同様に傷が浅いもの、範囲が狭いものに限られます。強くこすってしまった場合は、内部まで損傷していることもあり、表面を直しても内側にダメージが残っていることは少なくありません。直したつもりでも、内部が損傷していて走行性能を落としてしまうこともあるため、タッチペンで直せるのは浅い傷だけと考えておきましょう。
タッチペンでの車傷の修理で事前に用意するもの
車のDIYでタッチペンを使って、車の傷を修理をするには、次のものを用意します。
- タッチペン
- マスキング
- コンパウンド
- 耐水ペーパー
- サンドペーパー
- 脱脂スプレー
- ワックス
これらはカー用品店やネット通販でも購入が可能です。物によって金額は変わりますが、大体500円から1,000円前後で購入できるものが多いです。
タッチペン(タッチアップペン)は、筆塗りの補修タイプとスプレータイプで範囲の大きい傷に対応するボデーペンがあります。カー用品店などで、販売スタッフと車のボディーカラーを相談することが出来ない通販での購入の場合は、色番号などをしっかりと確認してから購入するようにしましょう。
メモ
国産車の場合、車のボディーカラーのカラーコードは、エンジンルーム内のコーションプレートに表記されています。コーションプレートは、金属製の幅10cm程度のプレートです。COLORまたは、PAINTの欄に記号が表記されていますので、こちらを写真でとっておき、カー用品店で補修用ペンを探していると伝えると購入がスムーズでしょう。
また、上記修正用のアイテム以外にも、修理時に使用する水を入れるバケツや汚れを拭き取るタオル、作業を進めやすくするカッターやはさみ、ゴム手袋なども用意しておきましょう。
タッチペンで車を修理する手順
タッチペンを使った車の傷の修理は、単に傷の上から塗料を塗布して補修が完了というわけではありません。きちんと下処理をしてから修理の作業を行う必要があり、手順を守って進めることが大切です。全体の手順を知って、スムーズかつ綺麗な仕上がりになるよう、修理を行いましょう。
車の傷を修理する手順は
タッチペンによる補修の手順は、次の通りです。
- 車傷の汚れを落とすクリーニング
- 傷を露出させる
- マスキングで傷の周りをカバーする
- タッチペンによる補修
- サンドペーパーによる表面処理
- コンパウンドで研磨する
- ワックスでツヤを出す
工程自体は多いですが、実際の作業はそれほど面倒ではないため、ひとつずつ手順を踏んで補修を行いましょう。
車の傷の周辺の汚れを落とす
車の傷を修理するときには、まずは綺麗に汚れを落とさなければなりません。傷周辺はもちろん、傷口の内部までしっかり洗車し、汚れを洗い流しておきましょう。
傷口にごみが残っていると綺麗に補修できず、作業の際に傷を広げてしまう可能性もあります。 しっかり水洗いをし、傷口に塗料が残っている場合はアルコールで拭くなど、丁寧なクリーニングを心がけることが大切です。
傷を露出させる
傷口を綺麗にするには、傷口を露出させます。脱脂スプレーで油分を取り、傷の周りのささくれや塗料のめくれを取り除きます。特に塗装部分に油分が残っていると、修理をする際に使うタッチペンが油分で弾かれたり、修理後に剥がれ落ちる原因になってしまうことがあります。油分取りを行うには、シリコンオフスプレーなどの脱脂スプレーを使用します。また、ささくれなどが目立つ場合は手でも取れますが、綺麗に除去するなら耐水ペーパーやコンパウンドを使用して丁寧に取り除いておきましょう。
マスキングで傷の周りをカバーする
タッチペンで塗布すると、周囲に塗料が飛び散る恐れがあります。そのため、マスキングで傷の周りをカバーし、保護しておきます。
余計な部分にペイントがかかると、色ムラができますし仕上がりも悪くなるため注意が必要です。最低限の箇所だけではなく、少し広めにマスキングで保護することが大切です。
タッチペンによる補修
塗料が飛ばないように、マスキングテープで周囲をカバー出来たら、タッチペンで補修していきます。傷口にペイントを乗せ、傷を覆うように盛り付けるイメージで塗布すると綺麗に修復できます。
ペイント材は乾燥するとやせるため、盛り上がるように多めに塗布することがポイントです。また、一度では綺麗に塗れないため、乾燥させながら何度かに分けて重ね塗りをしましょう。一旦タッチペンをして乾燥するまでに20分程度乾燥させる必要があり、何度か繰り返しますので時間に余裕を持って作業できるようにしましょう。
サンドペーパーによる表面処理
ペイントが乾いた後は、サンドペーパーで表面の処理をおこないます。時期や車を保管する環境によっても異なりますが、塗料が完全に乾燥するには1~2週間程度かかります。乾燥しないうちに研磨すると、仕上がりが汚くなるので注意しましょう。
完全に乾いたことを確認し、サンドペーパでペイントの凹凸を落とします。400番から初めて1000番程度まで使って研磨し、ペイントの凹凸がわからなくなるまで磨きましょう。
コンパウンドで研磨する
表面の処理をした後は、さらにコンパウンドを使って表面を仕上げます。3000番から9800番まで使って丁寧に磨きますが、この時粗い目を使ったり、強くこすり過ぎたりするとペイントが剥げてしまうため注意が必要です。
ワックスでツヤを出す
より綺麗に仕上げるには、ワックスまでかけてツヤを出します。ワックスは単にツヤ出しだけではなく、塗装を保護する役割も果たすため、必ずかけておきましょう。ワックスは垂れないようにかけることが大切で、素早く均等に広げ、きちんと乾かして補修作業は終了です。
タッチペンで修理に失敗した場合の修正方法
もしタッチペンでの車の傷の修理を行っていて、液だれがあってつきすぎてしまったり、目立つムラが出来てしまったなどの失敗をしてしまった時の修正方法をご紹介します。
スプレータイプの有機溶剤やうすめ液を使う
タッチペンでの修理の際に、実際に塗装したら色番を間違えてしまっていたということもあります。この場合は、エアスプレーなどの塗装で失敗した場合は、スプレータイプの有機溶剤(ラッカーシンナー)など塗装のやり直しに特化したスプレーが販売されています。スプレーをしてからふき取りを行い塗料を落とします。また、タッチペンのムラが出たり、ペイントに失敗した時は塗料のうすめ液を塗って修正します。うすめ液を塗ることで、タッチペンの塗料を落とすことが出来ます。
タッチペンの失敗をカバーする時の注意点
タッチペンなどのペイントをした時に失敗をしてしまって、有機溶剤やうすめ液を使用する時には注意が必要です。ペイント塗料の有機溶剤やうすめ液はシンナーが使用されているため、換気のよい場所で行うことが大切です。
また、高い濃度で使用すると、タッチアップペンを塗った場所以外を溶かしてしまうことがあり、余計に傷を広げてしまうこともあります。不要部分まで溶かしてしまわないように、こちらもマスキングテープなどで養生してから行いましょう。換気と濃度の2つに注意して、失敗した場合も焦らずに対処しましょう。
車傷の修理のタッチペンを選ぶポイント
ひとくちにタッチペンといっても、種類は豊富で数は多いです。商品ごとに特徴が違うため、修理に最適なものを選ぶためには、ポイントを知ることが大切です。
- 安く購入できる社外品を選ぶ
- ペイントカラーはメーカーに問い合わせてから選ぶ
- 傷の大きさに合ったハケを選ぶ
これら3つのポイントを意識して、愛車に合ったタッチペンを購入しましょう。
安く購入できる社外品を選ぶ
DIYのメリットは安く修理できる点にあるため、このメリットを活かすためには、少しでも安価な社外品を選ぶことがおすすめです。タッチペンは純正品と社外品がありますが、塗料自体はほとんど変わりません。純正品はいわばブランドがついていることで値段が高くなっているため、コストを考えるなら社外品を選ぶことがおすすめです。社外品なら1,000円程度で購入できて安く、気軽に使いやすいでしょう。
ペイントカラーはメーカーに問い合わせてから選ぶ
タッチペンは塗料のため、使用するものは車の色に合わせなければなりません。車の色は細かい違いがあるため、使用する色はメーカーやディーラーに問い合わせて、確認してから選びましょう。例えば同じ黒でも種類は複数あり、ペイントカラーを調べずに購入してしまうと、補修した部分だけ色が違って目立ってしまうこともあります。ボディカラーを知るのは必須であり、ネットでも検索できるため、必ず調べておきましょう。
傷の大きさに合ったハケを選ぶ
上手にタッチペンを塗るには、ハケのサイズにも注目が必要です。ハケのサイズは傷の大きさに合わせることが大切であり、傷が大きいなら幅の広いものを、小さいなら幅の狭いものを選びましょう。ハケのサイズを間違えると、作業がしづらくなったり、傷口に塗るのに時間がかかったりするため、注意しなければなりません。
便利なタッチペンを使って愛車の傷を修理しよう
小さな傷ならタッチペンを使って補修ができ、手順はそれほど難しくありません。最初だけ道具を揃えるのにお金と時間がかかりますが、一度揃えてしまえば次回以降も同じ道具を使い、スムーズに修理に臨めます。小さな傷なら業者に頼まずとも直せるため、きちんと手順を覚えて、愛車を自分の手で綺麗に保ちましょう。