軽自動車の廃車手続きは普通自動車と比べると必要書類も少なく、カンタンと思う方が多いでしょう。しかし、軽自動車の廃車を考えているものの、その車のナンバープレートが盗難にあってしまって手元にない場合、通常の手続きのようにカンタンに廃車手続きできるのでしょうか?
軽自動車のナンバープレートが無くても廃車は可能?
まず第一に、軽自動車のナンバープレートが盗難にあって車にない状態でも、廃車することは可能です。ただし、車本体の解体時と廃車手続き時に気を付けなければならない注意点があります。通常の廃車手順と比べると、少し複雑です。
まずは、ナンバープレートの盗難にあい手元にない軽自動車の廃車をする際の注意点について、解説します。
廃車手続きの前に警察署で申請が必要
ナンバープレートが無い状態で軽自動車の廃車手続きを進めるには、まず最寄りの警察署でナンバープレートが盗難にあったことを申請し、盗難届出受理番号の交付を受けなければなりません。警察署での申請時に、「ナンバープレートが盗難にあった際の状況等」を記入し提出しますので、いつごろ・どの場所で・どんな状況で盗難にあったかを答えられるようにしておきましょう。
警察署での盗難届出申請の受付時間は決まっており、基本的には平日の午前9時から午後5時までとなっている警察署が多くなっています。ただし受付時間については各警察署によって異なりますので、受付終了後に行って二度手間になることがないように予め問合せをしておきましょう。警察署での盗難届出申請時には、身分証明書と印鑑を持参します。また、盗難届が受理されると盗難届出受理番号が交付されますので、忘れないように手元に控えておきましょう。
ナンバープレートがない車の移動は積載車または仮ナンバーが必要
ナンバープレートが盗難にあって車についていない場合、そのままでは車の走行ができません。廃車のため解体業者へ持ち込みをする場合は、積載車を依頼するか、仮ナンバープレートを申請し自走して持っていくか、どちらかの方法で移動する必要があります。
車の移動にレッカーを依頼する注意点
ナンバープレートが盗難にあった車を移動する場合は、前輪か後輪を持ち上げてトラックに牽引してもらい、残りの二輪で道路を走るタイプのレッカー車では公道を走行していると見なされてしまうため、利用できません。四輪すべて完全に積載できる積載車での移動が必要になります。
車の解体を依頼する解体業者のなかには、自社で積載車を所有していて保管場所まで引き取りにきてくれる業者もあります。その引取りにかかる費用は、解体業者によって有料か無料か異なります。保管場所が解体業者から遠いなど、距離によっては引取り対応を断られることもありますので、まずは解体業者に依頼する際、事前に引取りにきてもらえるのか費用がかかるのか、しっかりと確認をしましょう。
仮ナンバーを申請する注意点
車の状態は走行することに何の問題もなくても、ナンバープレートがついていなければ公道を走行することができません。仮ナンバーを役所で申請し、所定の位置に取りつけることで運行が可能になります。車検が切れている車でも仮ナンバーを申請すれば走行はできますが、自賠責保険の加入は必須となります。ナンバープレートがついていないだけでなく車検も切れている軽自動車となれば、車を輸送する期間中の自賠責保険加入が必要です。保険会社に理由を伝えると短期間の加入の対応をしてもらえますので、事前に手配しましょう。
ナンバープレートを改めて交付申請する方法もある
ナンバープレートが盗難等により滅失してしまった場合や、事故などで毀損してしまった時は、番号変更登録をして交付をしてもらうことが可能です。同じ車両番号のナンバープレートの再交付はできないため、車検証登録情報の車両番号のみ変更となります。番号変更の申請をして、新しくナンバープレートの交付を依頼することになりますので、交付手数料が新たにかかる上に、申請から交付まで一定期間待つ必要があります。車を乗り続けるのであれば、盗難後に費用をかけて新たに交付を受けることも考えるかもしれませんが、廃車のために新しい番号変更されたナンバープレートの交付を受けるのは、かかる費用や手間を考えてもあまりおすすめできません。
ナンバープレートのない軽自動車の廃車手続きに必要な書類
ナンバープレートが盗難にあって手元にない軽自動車の廃車手続きをする際、廃車をする人が準備する必要書類の一覧は下記のとおりです。
ナンバープレートが盗難にあった軽自動車の廃車手続きに必要な書類一覧
- 自動車検査証(車検証)原本
- ナンバープレート紛失の理由書
- 自動車検査証返納届出書・解体届出書・重量税還付申請書(軽第4号様式の3)
- 移動報告番号の控え
- 申請依頼書※
- リサイクル券※
- 申請手数料※
各項目について、書類の概要や取得方法を詳しく解説します。
自動車検査証(車検証)原本
軽自動車の車検証は、現在発行されている薄い緑色・A6サイズの電子車検証タイプと、2023年12月まで発行されていた薄い緑色・A4サイズの紙車検証タイプがあります。
車検証に記載されている内容は、電子車検証タイプの場合は【車両番号・初度検査年月・車名・車台番号・使用者の氏名又は名称】となっており、所有者の氏名または名称と住所については券面上では確認ができません。電子車検証タイプをお持ちの方は、車検証閲覧アプリを使用し、ICタグに記録されている情報を読み取って所有者情報を確認いただき、廃車手続きを進めるようにしてください。
2023年12月以前に発行されている紙車検証をお持ちの場合は、【車両番号・初度検査年月・車名・車台番号・所有者の氏名又は名称】を紙面で確認ができます。紙車検証の中央付近に、使用者が上部・所有者が下部に情報を記載されています。普通車の紙車検証とは逆の位置に記載がありますので、間違えないようにしましょう。
尚、車検証は自動車に備え付けていなければ運行してはならないという法律があります。したがって、一般的にはダッシュボードや運転席シートのポケットに保管されていることがほとんどです。車検証が見当たらない方はまずダッシュボードを探してみましょう。
ナンバープレート紛失の理由書
ナンバープレートが盗難や紛失でない場合は紛失の理由を記載した【車両番号標未処分理由書】を提出します。理由書に記載する項目や、書き方は以下の通りです。
項目 | 書き方 |
---|---|
車両番号 | 車検証を確認の上、ご記入下さい |
前後の別 | 前・後どちらかであれば片方に丸をつけます |
届出をした警察署等 | 申請を出した警察署をご記入下さい |
届出年月日及び受理番号 | 警察署より発行された受理番号を記載します |
盗難・遺失等にあった場所や状況 | どのように紛失・盗難にあったのかご記入下さい |
使用者・所有者の氏名・住所 | 車検証を確認の上、ご記入ください |
手続きに来た方の氏名・住所 | 代理の方の場合は、別途ご記入ください |
自動車検査証返納届出書・解体届出書・重量税還付申請書(軽第4号様式の3)
自動車検査証返納届出書・解体届出書・重量税還付申請書(軽第4号様式の3)は、軽自動車検査協会で配布されています。前もって記入をしておきたい方は、軽自動車検査協会のウェブサイトからダウンロードし、印刷して用意することも可能です。
車両番号・車台番号・申請者(使用者)の氏名又は名称と住所、所有者の氏名又は名称と住所は、車検証情報を確認しながら記入します。
移動報告番号の控え
軽自動車の廃車手続きをすすめる前に、車本体の解体を完了しておく必要があります。車の解体は行政の認可を受けた業者が行うことができます。まずは車本体を認可を受けた解体業者に預けます。車が引取られて解体工程に回ると、工程完了後に自動車リサイクルシステムで業者が移動報告を提出します。移動報告番号は解体が完了したことを証明する番号ですので、車の所有者は解体後に業者から【移動報告番号】を聞き取って手元に控えておきます。この際の移動報告番号は、自動車検査証返納届出書の右上に記入をします。
申請依頼書
申請依頼書は、軽自動車検査協会での手続きを所有者以外が行うときに必要になる書類です。手続きをする代理人を誰に定めるかを記入し、手続きを委託する旨が記載されています。申請依頼書も、軽自動車検査協会で配布されているものを使用するか、軽自動車検査協会ウェブサイトからダウンロードし印刷して事前に用意することが可能です。使用者・所有者・旧所有者の印鑑の押印部分がありますが、軽自動車の場合は認印で可能です。ただし、ゴム印やシャチハタを使用することはできません。
リサイクル券
自動車リサイクル法が2005年に定められており、車の最終所有者はリサイクル料金を負担する責任があります。ただし、基本的には軽自動車の購入時に支払われているもので、未預託の車はほとんどありません。万が一、リサイクル料金が未預託だった場合は、リサイクル料金を預託する必要があります。リサイクル券は車検証とセットで保管されていることが多くなっていますが、見つからない場合は、自動車リサイクルシステムのウェブサイトより、【ユーザーの方】向けのページにアクセスし車台番号下四桁と車両番号を入力すると、現在の預託状況を調べていただけます。リサイクル券を紛失されていても、自動車リサイクルシステムでリサイクル料金の預託が確認できれば何ら問題はありません。
申請手数料
自動車検査証返納証明書の交付を受ける場合は、350円の申請手数料がかかります。しかし、解体後に廃車手続きをする際の解体返納については申請手数料は無料です。
上記のほか追加の書類が必要になるケース
軽自動車の廃車手続きをする上で、上記の書類一式を揃えても手続きができないケースがあります。その具体的な例として下記をご確認ください。
車検証の所有者がローン会社や第三者の場合
軽自動車の廃車手続きを行うためには、所有者の了承と認印が必要です。特に、新車や中古車を購入する際にローンを組んで購入している場合は、所有者がローン会社になっている場合があります。所有者がディーラーやローン会社になっている場合は、手続きをすすめるために所有権解除書類をそろえなければいけません。基本的な所有権解除書類は、所有者であるディーラーやローン会社が署名と押印をしている申請依頼書となります。また、一部のディーラーでは、申請依頼書だけでなく軽自動車所有者承諾書(所有権留保車用)が必要になることもあります。
軽自動車の用途が自家用車ではなく事業用の場合
軽自動車の用途は、自家用と事業用があります。事業用軽自動車とは、人や物を運ぶことで利益を得ている事業で使用される軽自動車のことです。事業用で軽自動車を使用するには、事前に運輸支局で貨物軽自動車運送事業経営届出書の提出をしなくてはいけません。
事業用自動車等連絡書
前述の通り事業用登録を行った軽自動車を廃車する場合は、貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書で減車する旨を運輸支局に提出します。その際、事業用自動車等連絡書と減車する車検証の写しも併せて提出します。運輸支局で減車の申請を提出すると、受理された事業用自動車等連絡書に届出印が押印されますので、通常の廃車手続きの書類と併せて軽自動車検査協会に事業用自動車等連絡書を提出します。
車検が残っている軽自動車の廃車手続きをすすめる場合
軽自動車を廃車する際に車検有効期間の残り期間が1カ月以上あれば、加入している自賠責保険の解約を速やかに行うことで、使用しなかった保険料の返戻金を受け取ることができます。
自賠責保険証明証
自賠責保険は車検を取得するときに必ず入らなければならない強制保険です。自賠責保険の解約は、自賠責保険証明書の原本と解約申請書、軽自動車の廃車手続きが完了していることを証明する書類を準備します。
自賠責保険証明書は、強制保険となりますので車検証と一緒に保管されていることがほとんどです。もし車載していないという方も、万が一の事故などが発生した際もすぐに対応できるように車内に保管しておくことをおすすめします。
まとめ
ナンバープレートが盗難に遭ってしまったときも廃車手続きをすすめることは可能です。カーネクストであれば、ナンバープレートがついていない状態の車の引取りの費用をかけることなく、保管場所まで引き取りに伺って車の買取を行っています。手配等で時間や手間はかかりませんので、安心してお任せください。ただ、ナンバープレートの盗難被害については、当人より盗難届を提出していただく必要があります。被害に遭われてしまった時は、早めに最寄りの警察署へ行って被害届をご提出ください。