廃車手続きが完了すれば廃車証明書というものが発行されますが、これは何に必要なのか疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。廃車が終了すれば証明書は別に不要だと考える人もいますが、これは間違いです。廃車後にもらえる証明書は実は大切なもので、発行されればきちんと保管しておかなければなりません。廃車証明書の意味を理解して、紛失しないよう大切に保管しましょう。
廃車証明書の正式名称を知ろう
廃車後は廃車証明書がもらえますが、これは正式名称ではありません。廃車証明書は複数の種類があり、それぞれ正式名称がありますので、何が廃車証明書に該当するのかを知っておきましょう。
普通自動車の廃車証明書は二種類
普通自動車の廃車証明書は二種類に分けられます。それぞれ手続きの方法によって書類の名称が異なりますので、違いを正しく理解しておきましょう。
永久抹消登録時の登録事項等証明書
まずは、車を解体・スクラップにする廃車方法である永久抹消登録の場合について。この永久抹消登録の手続きを完了させる事で登録事項等証明書と呼ばれる書類が発行されますが、これが廃車証明書と呼ばれているものです。
一時抹消登録時の登録識別情報等通知書
続いては、車自体は解体せずにそのまま残しておき、名義を一時的に抹消する方法である一時抹消登録の場合についてです。この場合には、前述の登録事項等証明書とは異なり、登録識別情報等通知書と呼ばれる書類がが発行される事になります。
以前は、一時抹消登録証明書とも呼ばれていました。
軽自動車は自動車検査証返納証明書のみ
普通自動車の場合は廃車証明書は上記の二種類の証明書がありますが、軽自動車の場合は異なります。軽自動車の場合の廃車手続き後に発行される書類は、自動車検査証返納証明書の一種類のみで、自動車検査証返納届(一時抹消登録)と解体返納(永久抹消登録)どちらの廃車方法をされてもこの書類が発行される事になります。
廃車証明書が必要になる場面
廃車証明書はさまざまなシーンで必要ですので、発行された後は無くさないように保管しておかなければなりません。廃車証明書がなければできない手続きも数多くありますので、実際にどのようなシーンで必要になるのか確認していきましょう。
廃車後に自賠責保険を解約する時
まず、廃車時に自賠責保険を解約するために、廃車証明書が必要になります。自賠責保険はすべてのバイクと車に加入が強制されている保険ですので、廃車が完了した事が確認できなければ解約ができないのです。この自賠責の解約は、陸運局ではなく契約先の保険会社との手続きで進めることになります。なお、必要書類は廃車証明書以外に、自賠責保険証明書契約者の本人確認書類、自賠責保険承認請求書、契約者の認印、解約返戻金(還付金)の振込先口座が分かるものとなります。
任意保険の中断手続き
続いては任意保険についてです。任意保険の解約自体には廃車証明書は不要ですが、任意保険を完全に解約するのではなく、新しく買い替える車などに現在の等級を引き継ぎをする場合に必要になります。等級の引き継ぎには現在の任意保険で中断手続きを行う必要があり、その手続きの際に中断する理由の証明として廃車証明書の提出が要求される事があるのです。
保険会社によって条件が異なります。
一時抹消登録した車を再登録する時
一時抹消登録を行った車は一時的に名義を消去するだけなので、手続きをすれば再登録も可能です。一時抹消登録後の再登録は、運輸支局または自動車検査登録事務所でおこないますが、この時の必要書類としても、廃車証明書は必須となります。万が一、紛失してしまった場合は、後述しますが再発行も可能ですので、その点はご安心ください。
新たな車のための車庫証明の申請の時
永久抹消登録によって廃車し、新たな車のために車庫証明の申請をする時には、登録事項等証明書が必要です。なお、初めから永久抹消登録をする場合は登録事項等証明書で申請できますが、いったん一時抹消を行い後から永久抹消した場合は、一時抹消時にもらえる抹消謄本のコピーを残しておく必要があります。
廃車証明書を取得する方法
廃車証明書はさまざまなシーンで必要になりますので、廃車後は必ず取得しなければなりません。廃車証明書の取得方法は、廃車手続きの方法によって違いますので注意が必要です。それぞれの方法ごとの取得方法を知って、廃車証明書をスムーズに発行しましょう。
登録事項等証明書の取得方法
永久抹消登録時に発行される登録事項等証明書は、廃車登録完了時にもらえます。登録事項証明書を発行してもらうためには、請求書(当日入手)に自動車登録番号と車台番号、請求の事由、請求者の氏名及び住所、手数料納付書(300円)などが必要です。また、詳細登録事項等証明書(現在および過去の登録内容)を発行してもらう場合は1,000円かかるので注意しましょう。当日、窓口にて検査登録印紙、第3号様式(登録事項等証明書を印刷するのに必要な用紙)を入手しておき、本人確認ができる書面も準備しなければなりません。
登録事項等証明書を発行する一連の流れをまとめると、
- 手数料納付書
- 検査登録印紙を購入、貼付
- 書類を揃えて窓口へ
- 交付窓口で身分証の提示
- 登録事項等証明書の交付
となります。
登録識別情報等通知書の取得方法
次に、一時抹消登録後の場合についてでございます。請求書(当日入手)、一時抹消登録証明書、手数料納付書(350円)、ナンバープレート、自動車税・自動車取得税申告書が必要です。
当日の一連の流れとしては、
- 手数料納付書を入手
- 検査登録印紙購入、貼付
- 書類を揃えて窓口へ
- 「登録識別情報等通知書の交付」
- 税事務所へ一時抹消の申告(還付金)
- 自動車税・自動車取得税申告書と登録識別情報等通知書を提出
となります。
おおまかな流れは永久抹消登録の場合と似ていますが、手順や必要な書類などが若干違いますので注意しましょう。
自動車検査証返納証明書の取得方法
軽自動車の場合、自動車検査証返納届・解体返納どちらの場合でも、軽自動車検査協会の窓口で手続きをし、発行してもらいます。自動車検査証返納証明書の発行には、自動車検査証(車検証)、使用者の印鑑、手数料納付書(350円)、ナンバープレート(車両番号標)、自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式)、軽自動車税申告書が必要です。普通自動車と必要な書類は違いますが、もっとも大きな違いは手続きの場所です。普通自動車の場合は運輸支局か自動車検査登録事務所の窓口でおこないますが、軽自動車の場合は廃車の手続きも含めてすべて軽自動車検査協会でおこないますので、間違いのないようにしましょう。
廃車証明書紛失時の対処方法
廃車証明書を万が一紛失してしまった場合は、今後の手続きを進める事ができなくなる可能性が出ますので、一大事と言える状況でしょう。しかし、喜ばしい事に廃車証明書は再発行が可能な書類です。ただし、再発行手続きは発行する証明書の種類によっても、その方法が異なりますので、ここからは各書類ごとの再発行手続きの方法についてご紹介していきましょう。
登録事項等証明書(永久抹消)の再発行
永久抹消登録の際にもらえる登録事項等証明書を再発行する場合は、運輸支局の窓口にて手続きをおこないます。再発行の際には、窓口で登録事項等証明書交付請求を提出します。
登録事項等証明書交付請求の用紙は窓口にあります。
書類には、自動車登録番号と車台番号、請求の事由、請求者の氏名および住所が必要ですので、すぐに記載できるように確認しておきましょう。
登録識別情報等通知書(一時抹消)は再登録
一時抹消登録時にもらえる登録識別情報等通知書は再発行はできませんので、再登録手続きが必要です。再登録の際には、登録識別情報等通知書の遺失等に係る新規検査、登録申立書を窓口でもらって手続きをおこないます。その際、譲渡証明書と新旧所有者の実印、印鑑証明書、警察への遺失物届を出さなければなりません。遺失物届の受理番号が必要ですので、届け出をした際に忘れずに控えておきましょう。
自動車検査証返納証明書は再発行不能
軽自動車の自動車検査証返納証明書も、同様に再発行はできません。再登録をするためには、あらためて1から手続きをやり直さなければなりません。再登録のためには、新規検査願出誓約書、譲渡証明書、遺失等に係る新規検査願出書、自動車検査証返納証明書紛顛末・誓約書、車台番号の拓本、実印、印鑑証明書が必要です。
新規検査願出誓約書 | 譲渡証明書 |
遺失等に係る新規検査願出書 | 自動車検査証返納証明書紛顛末・誓約書 |
車台番号の拓本 | 実印 |
印鑑証明書 |
手続き後、自動車検査証返納証明書が発行されるまでに時間がかかりますので、必要な場合は早めに手続きをしておきましょう。
廃車証明書はきちんと管理しておこう
廃車時に発行される廃車証明書はさまざまなシーンで必要ですし、なくしてしまうと面倒なことも多いです。それぞれ再発行や再登録は可能ですが、再度手続きが必要ですし、多くの書類を集めなければなりません。紛失さえしなければ余計な手間はかかりませんので、廃車証明書をもらえば大切に保管して、なくさないように大事に管理しましょう。