不正改造防止推進協議会を中心に、内閣府・警察庁・農林水産省・経済産業省および環境省の後援もあって、国土交通省運輸局では、毎年6月の一か月間を不正改造車の撲滅に向けた不正改造車排除の強化月間としています。
不正改造車とはどんな車?こんな改造はNG
車の構造を変更した後、構造変更登録手続きを行うことで継続して車に乗り続けることは可能です。しかし、下記のような改造を行った場合は不正改造となるため車検にも通りませんし、危険な改造車として違反車両となってしまうため、その車に乗り続けることはできなくなります。こちらではまず、不正改造車とはどのような改造を行った車のことを言うのかご紹介します。
着色フィルムをフロントガラス、運転席または助手席のサイドガラスに使用する
運転者が視界不良になると交通事故への危険性が高まるため、車のフロント(前面)ガラス、運転席と助手席のサイドガラスに着色フィルムを使用することは禁止されています。ガラスの可視光線透過率が、着色フィルム等を貼り付けることで70%未満になった場合は視界不良で適合不可となりますので、不正改造車となり車検に通りません。
ランプ類の灯火色を変更する
ブレーキランプや方向指示器などの灯火色は、法令によって色が決められています。色を指定して統一することで、通行する他車両や歩行者にも車が取る次の動向が分かるためです。不正改造により灯火色を変更してしまうと、車の次の動向がわからず事故につながる危険があります。
法令によって指定されている車の灯火色
法令 | 灯火類 | 灯火色 |
---|---|---|
道路運送車両の保安基準第34条 | 車幅灯 | 白色 |
道路運送車両の保安基準第36条 | 番号灯 | 白色 |
道路運送車両の保安基準第37条 | 尾灯 | 赤色 |
道路運送車両の保安基準第39条 | 制動灯 | 赤色 自動点滅する構造はNG |
道路運送車両の保安基準第40条 | 後退灯 | 白色 |
道路運送車両の保安基準第41条 | 方向指示器 | 橙色 点滅回数毎分60回以上120回以下 |
道路運送車両の保安基準第38条 | 後部反射器 | 赤色 |
基準に適合していないマフラーを装着する
車の排気に必要なマフラーを取り外したり、適合していないマフラーを装着したりすると、排気騒音が増大して周辺の生活環境を脅かす可能性があります。マフラーを基準外に変更してわざと大きな空吹かし音を響かせると、不正改造の罪だけでなく騒音運転の禁止違反として、5万円以下の罰金と違反点数2点が加算されます。また、消音機不備の禁止違反にもなるため、5万円以下の罰金と違反点数2点が加算されます・
車体からはみ出した部品の装着
車の外装品やエアロパーツを取り付けてドレスアップやカスタマイズを楽しむ方は沢山いらっしゃいます。しかし、外装には法令により取り決められている基準があるため、基準外のカスタマイズは不正改造となります。
タイヤ・ホイールがフェンダーからはみ出している
車には、車体ごとに適合するタイヤ・ホイールが決まっています。フェンダーからのはみ出しは、9mmまでが保安基準適合となっていて車検にも通りますが、10mmを超えてタイヤやホイールがはみ出していると、不適合となって車検にも通りませんし不正改造車となります。適合しないサイズのタイヤを取り付けることで車体に接触したり、部品同士が干渉することもあります。部品同士の干渉によって脱輪が起こり、危険な事故が起こる恐れもあります。
車体からはみ出した基準外のウィングを装着している
外装のドレスアップというと、ウイング部分やフロントグリルのエアロパーツなどのカスタムパーツを取り付けて楽しむ方も多いでしょう。しかし、車体の基準よりも外にはみ出すウィングパーツなどを取り付けると、車体からはみ出している部分が、歩行者や他の車両、壁面や建造物に接触してしまい、大きな事故につながる可能性もあり大変危険です。
スピードリミッターを解除している
スピードリミッター(速度抑制装置)とは、大型トラックなどが高速道路での走行中に、速度超過しないように制限を掛ける装置です。スピードリミッターは、車両が今どのくらいのスピードで走行をしているか検出し、設定の速度を超過しそうになるとエンジン出力を調整して速度を制限します。
大型トラックについては、平成15年の法令改正により速度抑制装置の装備が義務付けられていて、装着しているトラックの後方には黄色い【速度抑制装置付】ステッカーを貼り付ける必要があります。
不正改造車を使用した場合の罰則

前述のような改造を行った不正改造車を運転し使用した場合、もしくは前述にあてはまる不正改造を車に行った場合、どちらにも罰金・罰則があります。こちらで解説します。
不正改造車を使った場合の罰金・罰則
まず、不正改造車を使用している運転者に対しては、整備命令が発令されます。整備命令は、保安基準に適合していない車に必要な整備をするように命じます。しかし、整備命令が発令されても従わない人もいるかもしれません。整備命令等が出されて整備命令に従わない場合については50万円以下の罰金の対象となり、さらに車両の使用停止命令が出されてしまいます。
道路運送車両法 第五十四条 整備命令等
不正改造を行った場合の罰金・罰則
不正改造を実施した整備士、整備工場に対する罰則は、不正改造の禁止となっており、6ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます。また、その不正改造の整備を行った整備工場に対しては、地方運輸局より3カ月以内において事業の停止を命じられます。さらに、該当整備工場が指定自動車整備事業者に指定されている状態で、保安基準を満たさない車両の車検証を交付した場合は、道路運送車両法の違反となり、6ヶ月以内に置いて期間を定めて、保安基準適合証等の交付の停止を命じます。また、その指定を取り消すことがあります。
道路運送車両法 第九十九条の二 不正改造等の禁止
不正改造車を見かけたら

不正改造車を見かけた時や不正改造車であると確認した時は、登録番号(ナンバープレート)に記載されている地域を管轄している運輸支局へ情報を提供します。
全国の運輸局の情報提供先電話番号まとめ
まとめ
こちらの記事では、どのような改造が不正改造にあてはまるのか、不正改造で罪に問われる可能性がある内容について解説しました。不正改造車は、改造を実施した整備工場や整備士、その車を運転した使用者どちらに対しても罰則と罰金が科せられます。近年は不正改造が原因とみられる痛ましい交通事故も発生していますので、車のカスタマイズが気になっているという方は保安基準を守った改造の内容について知識をつけておきましょう。