車を買う時に、トランスミッション(変速機)をAT車にするかMT車にするか選ぶことができます。しかし、AT車とMT車にはどのような違いがあるのか、どんな車のことをいうのかご存知ない方もいらっしゃるでしょう。
こちらではAT車とMT車はどんな仕組みをもつ車のことをいうのか、AT車とMT車の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
目次
AT車とMT車ってそれぞれどんな車?
まずは、AT車とMT車は、それぞれどのような仕組みを持つ車のことをいうのか、こちらで解説します。
AT車の特徴
AT車(オートマチックトランスミッション車)とは、運転席にクラッチペダルがなく、アクセル操作をするだけで走行速度に応じてトランスミッションが自動的に適切なギア段階を選択しギアチェンジできる車のことです。ATはAutomatic Transmission(オートマチックトランスミッション)の略称で、自動変速機という意味があります。
AT車は、ブレーキとアクセル操作に集中して運転できるため、複雑な操作を必要とするMT車と比べると、運転がしやすくなっています。2005年にAT車のみに限定する条件付きの運転免許「普通車AT限定免許」が交付開始された後は、限定免許の取得であれば複雑な実技講習が不要になり、免許取得に必要な講習時間も短縮されたため、免許取得率が大幅に上昇しました。
日本の道路交通事情は狭路が多く信号も多い傾向にあり、都市部では頻繁に信号待ちと渋滞が発生します。MT車は信号待ちでブレーキをかけるタイミングなどで操作を誤ると停車時にエンストしてしまうことがあり、ストレスを感じるドライバーも多かったのですが、AT車はクラッチ操作やギアチェンジが自動化されているため、特殊な状況でない限りエンストを起こすことはありません。運転がしやすくなっています。そのため、日本の交通事情に適しているAT車はさらにシェアを拡大してゆくことになります。
MT車の特徴
MT車(マニュアル・トランスミッション)は、運転者がシフトレバーを用いて手動で適切な車のギアへと変更し、クラッチペダルを操作する必要がある車のことです。MTはManual Transmission(マニュアルトランスミッション)の略称で、手動変速機という意味があります。
MT車の運転は、走行速度に応じた適切なギア選択や、発進時の「半クラッチ」操作など、それらが自動化されていて操作不要なAT車と比べると操縦が複雑で面倒といわれることがあります。また、クラッチ操作やギア・チェンジが適切にできていなければ「エンスト(エンジンストール)」を走行中に起こしてしまうこともあります。
ただし、それらの操作が「車を操縦している感覚」を味わうことに繋がると考える人もおり、運転そのものが好きな人にとっては簡素な操作のみであるAT車では物足りなく感じてしまうようです。AT車が普及し初めた頃はまだ発展途上の技術であったため、車の燃費は自身で操作できるMT車の方が良いとされていましたが、現在ではAT車の技術開発が進み、カタログ燃費ではMT車よりAT車の方が優秀になってきています。
AT車とMT車のメリット・デメリット比較
AT車とMT車がどんな車かご紹介しました。こちらでは、AT車とMT車のそれぞれメリット・デメリットを比較し解説します。
比較対象 | AT車 | MT車 |
操作性 | △ | ○ |
操作のしやすさ | ○ | △ |
新車価格 | △ | ○ |
選べる | ○ | △ |
AT車のメリット
- 操作が少ない分、楽に運転できる
- エンストしない
- クリープ現象のおかげで坂道発進時に下がりにくい
- 国内で製造・販売されている車種の多くがAT車のため、車種の選択肢が多い
AT車のデメリット
- 「車を操縦している感覚」が楽しめない(と感じる人がいる)
- 内部の構造が複雑であるため同クラスのMT車より新車時の車両価格は少し高くなる
- 内部の構造が複雑であるため故障しやすく、MT車に比べるとパーツの寿命が短い
- ブレーキとアクセルの踏み間違いで急発進してしまう可能性がある
MT車のメリット
- 「車を操縦している感覚」を楽しめる(と感じる人がいる)
- 内部の構造が単純であるため同クラスのAT車より新車時の車両価格は少し安くなる
- 内部の構造が単純であるため故障し辛く、パーツの寿命が長い
- クラッチのおかげでブレーキとアクセルの踏み間違いをしても急発進する可能性が低い
MT車のデメリット
- ギアチェンジやクラッチの操作などが煩雑
- 操作を誤るとエンストを起こしてしまう
- 坂道発進時に下がりやすい(特に重い車など)
- 国内で製造・販売されている車種の多くがAT車のため、車種の選択肢が少ない
AT車とMT車のシェア
新車販売登録されているAT車・MT車のシェアを比較すると、現在は圧倒的にAT車が多い傾向です。2005年に普通車AT限定免許の交付を開始してからはAT限定運転免許取得者が増加したため、その頃からは特にAT車のシェアが増しています。技術開発が進んだことで、AT車の燃費性能が高くなり、AT車だから走りの効率が悪いということもなくなったことがAT車のシェアを高めた要因と言えます。さらに、自動運転技術の進化やエンジン回転に応じて自動的に変速する無段変速機、燃費効率が良くなり走行も楽しいと感じられる多段階変速機の開発がすすめられたことも要因のひとつとなり、AT車は続々と増えつづけているのです。日本の自動車市場では数十年前まではMT車が主流でしたが、現在ではほぼAT車となっています。こちらでは、AT車・MT車それぞれのシェアを解説します。
AT車・MT車 シェア比率変遷表
30年以上前からのAT車・MT車のシェア率を比較すると、いまは圧倒的にAT車が増加傾向にあります。下記の表は国内メーカーの普通車のみのMT・AT比率のデータです。2019年時点で日本の自動車販売台数におけるAT車の割合は98.6%となっています。日本の道路事情もあって、AT車はシェアを伸ばしました。新車販売されるモデルからもMT車設定は減少しており、AT車やCVT車が主流となっています。MT車設定を続けている車種は限られていて、社用車やスポーツカーのみという状況になっています。
西暦 | AT車割合 | MT車割合 | 車両販売台数 |
1985年 | 48.80% | 51.20% | 2,892,894 |
1990年 | 72.50% | 27.50% | 4,085,005 |
1995年 | 80.80% | 19.20% | 3,181,286 |
2000年 | 91.20% | 8.80% | 2,710,840 |
2005年 | 96.60% | 3.40% | 3,096,683 |
2010年 | 98.30% | 1.70% | 2,714,319 |
2019年 | 98.60% | 1.40% | 2,821,886 |
まとめ
2020年代は日本で登録されている車の99%近くがAT車になっている現状、MTの免許を取る必要性は低いと言えるでしょう。
ただし、企業の商用車・バスなどの大型車・スポーツカー・中古車・MT車が主流な欧州など、MT車に乗る可能性が0ではない以上、MT免許で取得しておくのは決して悪い選択肢ではありません。
AT免許でもMT車を運転できる免許に切り替える「限定解除」もありますので、ATで免許を取得した人は必要に応じて限定解除講習を受けると良いでしょう。
また、クラッチペダルはない(クラッチが自動で制御される)がギアチェンジは手動で行う「2ペダルMT」など、「車を操縦している感覚」をある程度残しつつも面倒な操作を低減した、MTとATの中間的な車もあります。「MTの方が(あるいはATの方が)絶対的に優れている」ということはありませんので、自分の目的や好みにあった車を選ぶと良いでしょう。
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