車両保険は車が損壊した際に、修理費を補償するものです。補償の対象は大きく「事故」「災害」の2つが挙げられますが、それぞれで補償の内容は異なります。車両保険は任意で加入する保険のため、上手に活用するには細部まで補償内容を把握することが大切です。事故と災害での補償内容の違いを知り、車両保険の理解を深めて必要性を再確認しましょう。
目次
車両保険の自然災害による損害補償
車両保険では自然災害によって車が損壊した際も、補償を受けられます。しかし、ひとくちに自然災害といっても複数の種類があり、災害の種類によっては補償が受けられないこともあるため、注意しなければなりません。災害ごとの対応の違いを知り、どこまでが保険の適用範囲になるか把握しておきましょう。
台風による損害
台風の場合、台風による水没や土砂災害、飛来物による損壊は補償の対象です。これらは土砂災害や飛来物も、台風に関連した災害と認められるため、補償は受けられます。 ただし、台風によって十分な視界が確保できず起こした事故については、災害補償の対象ではありません。自損事故で事故補償を受けることになります。相手方がいる場合、相手に与えた損害は対人・対物補償にて賠償することになります。
大雪や雹による被害
大雪や雹による被害も、補償が適用されることが多いです。大雪だと、重さでボンネットが潰れ、雹ではガラスの破損が考えられます。これらの直接的な被害は車両保険でカバーできますが、雪害によって錆が発生し、故障した場合は保険適用外になるため注意が必要です。 災害の補償が適用されるのは、あくまで災害による直接的な被害であり、間接的な被害は自身の責任とみなされます。
地震や津波による被害
地震や津波によって被害を受けた場合は、車両保険は適用されません。これらは被害の規模があまりに大きく、適切な保険料の設定が難しいからです。ただし、保険会社によっては、地震や津波被害に対応した特約を販売していることもあり、これに加入している場合は、補償が受けられます。 特約の販売内容は保険会社ごとに異なるため、地震や津波にも保険をかけたいなら、保険会社を変えることも視野に入れましょう。
車両保険の事故による損害補償
車両保険は事故による損壊にも対応していますが、事故の状況に応じて、対応は異なります。事故の種類によって対応がどのように異なるのかを知り、車両保険への理解をさらに深めましょう。
何かに衝突した自損事故
電柱や壁など、何かに衝突した場合、自損事故の扱いになります。事故相手がおらず、単独の事故でも、事故によって損壊した車の修理代金は補償されます。ただし、補償される金額は上限が決まっており、必ずしも修理代金が全額補償されるとは限りません。 また、車両保険は自身の車の補償を対象としており、壊してしまった物の補償は対象外のため、注意が必要です。損壊したものの補償は、対物賠償保険への加入が必要であり、これに加入していない場合は、自己負担で賠償金を支払わなければなりません。
当て逃げ事故
当て逃げ事故で損壊した場合も、車両保険の補償を受けることは可能です。しかし、当て逃げは証明するのが難しく、基本的には自損事故で保険を適用させたときと同様に、3等級ダウンになることは理解しておきましょう。 災害のように自己責任のない事故は保険適用後も1等級ダウンですが、当て逃げは証明できない限り、通常の保険適用と同じとみなされます。
車同士の衝突事故
車同士の衝突事故の場合、自身の車の損害には保険の適用が可能です。相手の車や相手自身への賠償には、車両保険は適用外で別の保険を適用させなければなりません。車両保険は自身の車を守ることに限定した保険のため、事故全体に対応するなら、他の任意保険にも加入が必要です。
事故と災害の車両保険の手続きの違い
事故と災害では補償の内容が違うだけではなく、手続きの流れも異なります。車両保険は加入しているだけで自動的に保険が適用されるわけではなく、車が損壊した後、保険適用の手続きをしなければなりません。 手続きがスムーズに進められないと保険が適用できず、保険金の支払いも遅れるため注意が必要です。車の被害に素早く対処するためにも、事故と災害、それぞれの手続きの流れを把握しておきましょう。
事故の場合
事故の場合は、事故発生直後、素早く保険会社に連絡し、事故の状況を伝えなければなりません。相手がいる場合は、相手方の保険会社との示談交渉を行い、過失割合に応じて保険金の支給額が決定します。保険金は保険会社に事故の報告をしてすぐではなく、示談交渉が成立してから支払われるため注意が必要です。 また、車対車の場合は、自身の被害を説明するだけでは保険は下りず、相手の車の被害状況と車の所有者が確認できてはじめて、保険金が支払われます。
災害の場合
災害の場合も、車の被害を確認後、保険会社に連絡し、被害の状況を伝えます。状況を確認し、被害が認められると保険金が支給されます。また、保険適用後は1等級ダウンになり、保険料の支払いが増えますが、大規模な災害の場合は流れが異なります。 大規模災害の場合、災害救助法が適用され、保険の継続手続きや保険料の支払いに対し、一定の猶予がもうけられます。保険料の支払いが難しい場合でも、猶予をもらえる可能性があるため、等級ダウン後は災害救助法適用の有無も確認しておきましょう。
補償内容をよく確認してから保険に加入しよう
車両保険は任意保険のため、絶対に必要ではありませんが、加入することで車の損壊を補償してもらえます。しかし、すべての場合で保険が適用されるとは限らず、対象外のケースもあるため注意が必要です。保険会社によっても内容は細部が異なるため、補償内容は詳細まで確認してから、加入を決めましょう。