物事には何でも始まりがあり、最初の形と現在の形では大きく違っていることも多いです。現在では道路を見渡せば当たり前のように車が走っていますが、これも昔は存在せず、発明された当初は世紀の発明として注目されていました。世界一古い車とはどんなものかを知り、現在に至るまでの歴史を覗いてみましょう。
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世界で一番古い車は蒸気自動車だった
現在ではガソリン車が主流で、さらに電気自動車、水素自動車など新しい車の形も数多く存在しています。車が発明された当初は、当然現在のような技術はありませんので、車に使われている原動力なども異なります。古い車と言えば、ディーゼル車を思い浮かべる人も多いでしょうが、これも比較的新しい車です。世界一古い車は蒸気自動車であり、蒸気機関の力で走ったのが最初の車です。
始まりは蒸気機関の発明
そもそも蒸気機関の発明がすべての始まりであり、これを発明したのはジェームズ・ワットです。蒸気機関は、蒸気の力で回転運動を起こし、エネルギーを発生させるもので、産業革命の礎になったとも言われています。蒸気機関は車など、特定の目的で作られたわけではなく、単にエネルギー発生装置として発明され、のちに少しずつ改良を重ねることで、車にも応用されています。
世界一古い蒸気自動車の誕生
世界一古い蒸気自動車が誕生したのは、1769年であり、開発者は二コラ・ジョゼフ・キュニョーです。蒸気機関をフロント部分に乗せた簡素な作りであり、現在の自動車とはかなり違ったデザインで発明されてました。当初は時速9キロしか出ませんでしたが、ここからさらに改良を重ねてスピードはどんどん上がり、デザイン性も現在の物に近づいていきます。
蒸気自動車が起こした世界初の交通事故
世界一古い蒸気自動車は、フロント部分に蒸気機関を搭載していましたが、これが非常に重く、試運転中に運転を誤って壁にぶつかっています。これが世界で初めての交通事故とも言われており、蒸気自動車の発明と併せて歴史的な瞬間と言えるでしょう。
ガソリン自動車と電気自動車の登場
蒸気自動車が登場した後も、さまざまな改良が加えられ、技術はどんどん発達していきます。蒸気自動車としてもどんどん成長していきましたが、時代の変遷とともに使用されるエネルギーも変化し、原動力そのものもモデルチェンジされます。 蒸気自動車から数多くの改良を重ねた自動車は、現在でも主流のガソリン車へと変化を遂げ、以来現在に至るまで成長を続けていると言えるでしょう。また、実は最先端モデルの電気自動車も、過去に登場しています。
世界で初めてガソリン車を開発したのはベンツ
世界で初めてガソリン車を開発したのは、現在でも高級車メーカーとして有名なベンツです。蒸気自動車の登場から約100年後の1886年に「ベンツ・パテント・モートル・ヴァーゲン」を開発し、これが世界で最初のガソリン車と言われています。通称ベンツ1号であり、現在まで続くベンツの歴史を支えている、重要な車と言えるでしょう。
今話題の電気自動車の歴史はガソリン車よりも古い
電気自動車は最先端モデルとして現在も話題になっていますが、実は過去にも登場していたモデルであり、歴史としてはガソリン車よりも古いです。電気自動車も発明当初は爆発的な人気がありましたが、時代の流れとともに少しずつガソリン車の影に隠れてしまいます。
世界一古い電気自動車は時速100㎞超えを記録!
世界一古い電気自動車は、ガソリン車よりも13年早い1873年に実用化されました。発明当初は爆発的な人気を誇り、ガソリン車が登場した後も、電気自動車の優位性は変わりません。機能性については、先に発売された電気自動車のほうが上であり、先に時速100㎞超えを達成したのも、実は電気自動車です。 しかし、技術の発展とともにガソリン車の優位性は増していき、ガソリン車の開発支援に乗り出す国も増えるなど、次第にガソリン車が主流になっていきます。さまざまな技術向上が進んだ結果、ガソリン車のほうが高性能かつ製造しやすくなり、電気自動車は時代とともに衰退していきます。現在では電気自動車も新たな形で復活を遂げていますので、今後の更なる普及に注目が必要でしょう。
最古の車メーカーを先駆けに広がる自動車の量産化
世界一古い車が開発された当初は、新たな発明品の誕生に注目が集まりましたが、当然すぐに量産体制が取られたわけではありません。蒸気自動車にしても、ガソリン車や電気自動車にしても、開発技術ができあがってから量産化されるのは、もう少し先のことになります。 量産化を進めたのが、世界最古の車メーカーであり、これを先駆けとして少しずつ世界中で量産化の波が広がっていきます。
自動車の量産化を始めた世界最古の車メーカー「プジョー」
世界で初めてガソリン車を開発したのは、ベンツですが、世界最古の車メーカーはプジョーと呼ばれています。これはベンツは一点物しか製造していなかったのに対し、プジョーでは初めて量産体制を整え、大量に生産を開始したからです。 開発したのはベンツが先ですが、メーカーという側面で見れば、先に量産体制を取ったプジョーが元祖と言えます。ベンツもプジョーも、現在を代表する車メーカーであり、この2社の存在によって、現在の車文化は発展を遂げたといっても過言ではないでしょう。
各国で次々に自動車メーカーが登場
プジョーによる自動車の量産化を皮切りにして、各国で自動車メーカーが誕生し、少しずつ量産化の波は広がっていきます。世界中で自動車メーカーは誕生していきましたが、中でも大きな発展を遂げたのがアメリカです。 アメリカは土地の広さや人口の多さ、工業的な背景など、さまざまな理由によって自動車の大衆化が求められ、誰もが購入できる自動車の開発を進めていきます。大衆化に成功したことで、普及率は爆発的に伸び、自動車業界でアメリカは急成長を遂げます。
海外の影響を受け日本で初めて作られた車
自動車開発の波は日本にも押し寄せ、1904年には日本最古となる山羽式蒸気自動車が開発されます。しかし、当時の日本ではまだまだ技術力は未熟であり、実用化には至りません。国内を走る車はほとんどが外車であり、国産の車が誕生するのはまだまだ先になります。 第二次世界大戦までにも自動車の開発は進められますが、軍用のトラックなどが中心であり、乗用車として開発されたのは戦後になってからです。戦後の高度経済成長期にトヨタが国産車の開発に乗り出し、少しずつ改良を重ねて量産化体制がとられ、現在では日本を代表する自動車メーカーへと成長しています。
車の誕生は歴史を大きく変えていた
車の誕生が歴史に与えた影響は大きく、産業の発展にも強く関係していることが分かります。現在でも自動車の開発は絶えずおこなわれており、新型モデルもどんどん開発されていますので、さらに自動車の歴史は切り開かれていくでしょう。