近年、地球の環境に配慮したエコカーの普及が進んでおり、ドイツやイギリスは2030年、フランスは2040年以降にガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表しています。日本では、2030年半ば頃までに国内外で販売する全ての乗用車を電気自動車やハイブリッドカーにするという方針を政府が示しています。
そこで注目を浴びているのが、電気の力だけで走る電気自動車です。ここでは、電気自動車のメリットやデメリットなどを詳しく解説していきます。
目次
電気自動車と他のクリーンエネルギーカーの違い
電気自動車の他にも、環境に配慮したクリーンエネルギーカーと呼ばれる車がいくつかあります。まずは、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
電気自動車(EV)
ガソリン車はエンジンの中でガソリンを燃焼させることで発生するエネルギーで走るのに対し、電気自動車は電気で動くモーターを駆動力にして走ります。電気を蓄えるバッテリーやそれらを制御するコントローラーなどで車が構成されており、二酸化炭素を一切排出しないため環境に優しいのが特徴です。
ハイブリッドカー(HV)
ハイブリッドカーはガソリン車と電気自動車の動力を兼ね備えた車のことです。発進~低速時には電気自動車同様、電気で動くモーターを駆動力にして走りますが、通常の走行時は動力がガソリンエンジンへと切り替わり、急加速時には電気とガソリンの両方を駆使して走ります。モーター用のバッテリーはエンジンによって充電することが可能なため、電気自動車のように充電する必要がないことがハイブリッドカーの大きなメリットです。
プラグインハイブリッドカー(PHV)
プラグインハイブリッドカーとは、ハイブリッドカーに外部充電が可能な大容量バッテリーを搭載した車のことです。基本的には電気自動車と同じように外部から充電して走りますが、充電が切れるとハイブリッドカーと同じ仕組みで走れるように切り替わり、ガソリンで充電を行うことができます。通常は電気自動車として走り、電気自動車では心配な長距離走行などはハイブリッドカーとして走行することができる、電気自動車とハイブリッドカーのいいとこ取りをした車なのです。
燃料電池自動車(FCV)
燃料電池自動車とは、水素と空気中の酸素の化学反応によって発電した電気を使い、モーターの電力で走るクリーンエネルギーカーのことです。水素と酸素の力だけで走るため、二酸化炭素は一切排出されません。
電気自動車のメリット
電気自動車にはどのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。
環境に優しい
ガソリン車はエンジン内でガソリンを燃焼させて走るため、排気ガスには二酸化炭素や炭化水素、窒素化合物など、様々な大気汚染物質が含まれています。特に二酸化炭素は地球温暖化の原因と言われており、全世界で二酸化炭素の排出量を減らす取り組みが行われています。そのため、ガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する動きが世界で広がり、二酸化炭素を一切排出せず、空気を汚すことのない電気自動車の製造販売にシフトしていっているのです。日本も2030年半ば頃までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を政府が示しているため、今後電気自動車のさらなる普及が見込まれます。
ランニングコストを抑えられる
電気自動車はガソリンではなく電気で走るため、ガソリン代は必要ありません。かかるのは電気代のみとなり、日産が公表しているデータによると、1,000km走るためにガソリン車では10,571円必要になるのに対し、電気自動車はわずか1,970円で済むとのことです。つまり、ガソリン車と電気自動車で同じ距離を走行すると、ガソリン代よりも電気代の方が圧倒的に安くなるのです。さらに、電気の使用量が少なくなる深夜は電気料金が割安になるため、深夜電力を利用することによってさらなるコストダウンが可能になることもあります。
補助金が受け取れる
令和2年度第3次補正予算が国会で可決され、電気自動車などの購入に対し、環境省と経産省から補助金が出されることが決定しました。条件にもよりますが、電気自動車の購入で最大80万円の補助金が受け取れる他、V2H機器などへの導入にも補助金が出ることになります。受け取ることのできる補助金は3種類あり、条件に合わせてどれか1つを選ぶことができます。
従来から電気自動車の購入には補助金が出されていましたが、この第3次補正予算によって環境省の補助金であれば従来の約2倍、経産省の補助金であれば従来の約1.5倍の補助金を受け取ることができるようになります。また、受け取れる補助金の額はハイブリッド車よりも電気自動車の方が高くなります。
さらに、国による補助金だけでなく、同様の補助金制度を自治体で設けているところもあり、そういった場合は国と自治体の補助金の両方を受け取ることができます。
税金が安くなる
政府は環境に配慮した自動車の普及を進めるため、クリーンエネルギーカーの税金を免税もしくは減税する制度を導入しています。電気自動車によって免税や減税が可能になる税金は、自動車税・環境性能割・自動車重量税などです。例えば、環境に配慮した車への優遇制度であるエコカー減税はガソリン車にも適用されますが、電気自動車の場合は自動車取得税や自動車重量税が100%免税となります。また、車の排気量で金額が決まる自動車税においては、排気量がゼロの電気自動車は一番低い税率となります。
自治体によって免税や減税の条件などは異なるため、各自治体のホームページなどで確認しておくようにしましょう。
静粛性が高く振動が少ない
ガソリン車はエンジンでガソリンを燃焼させて走るため、走行時にどうしても音や振動が発生してしまいます。遮音部品を使用しても完全に遮音することは難しく、高級車であったとしても多少の振動は発生してしまうのです。それに対し、電気自動車はバッテリーに備えた電気によってモーターを動かしているため、走行時の音が静かで振動も少なくすることが可能になります。
加速がスムーズ
電気自動車は回転のし始めから最大トルクを発生させることが可能なため、ガソリン車よりもスムーズに加速することができます。電気自動車はスポーツカーと比較してもトルクが大きく、排気量が3,300ccのガソリン車に匹敵する加速性能を持つと言われるほどの高い走行性能を持っています。
災害時に蓄電池として使用できる
地震や台風などが多い日本では、自然災害が原因となる停電が数多く発生しています。自然災害などによって停電してしまった場合でも、電気自動車を非常電源として活用することが可能なため、いざというときも安心です。
電気自動車のデメリット
メリットの多い電気自動車ですが、購入を検討する際はデメリットも理解しておく必要があります。電気自動車のデメリットにはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
車両価格が高い
現在、国内の自動車メーカーから発売されている電気自動車の新車価格は、300~400万円が平均です。ガソリン車であれば100万円前後で購入できるものもあるため、電気自動車の車両価格は高いと言えるでしょう。電気自動車の車両価格がガソリン車に比べて高くなる原因は、搭載しているバッテリーのコストが高いことにあります。電気自動車を購入する際は、補助金や税金優遇制度などをうまく活用するようにしましょう。
航続距離が短い
電気自動車の航続可能距離は、新品のバッテリーをフル充電した場合で200~600kmと言われています。また、エアコンの使用状況や速度など、電力の使用量によって航続距離が変わってくるため、実際の航続距離は各メーカーが発表している6割程度だと考えておいた方がいいでしょう。自動車メーカーやバッテリーメーカーが改良を重ねているため航続距離は伸長傾向にありますが、ガソリン車は1回の満タン給油で平均600km以上、中には1,500km以上走行できる車種もあるため、比較するとどうしても短く感じてしまいます。こういった点から、電気自動車での長距離走行には不安を感じてしまう方も多いかと思います。しかし、近年は航続距離の長い電気自動車も発表され始めているため、航続距離の問題は今後解消されていくことが期待できます。
充電に時間がかかる
家庭に設置した充電器や充電スタンドの普通充電で電気自動車を充電した場合、充電がゼロの状態からフル充電までにかかる時間は約4~8時間と言われています。急速充電であれば約30分で80%ほどまで充電することができますが、ガソリンの場合は5分で燃料を満タンにすることができるので、ガソリン車と比べると充電にかかる時間はかなり長くなります。充電が不十分な状態で急な外出予定などができてしまった場合、不便を感じることになります。また、充電スタンドのある場所を選んで買い物し、買い物のついでに充電するなどの工夫が必要になります。
充電スタンドの設置個所が少ない
ガソリンスタンドに比べると、電気自動車を充電する充電スタンドの設置個所はまだまだ少ないため、いざという時に充電できない可能性があります。2021年4月時点で、全国にある電気自動車の充電スタンド数は約28,500基、その内急速充電に対応している充電スタンドは7,108基しかありません。現在、日本全国の電気自動車の数は6万台以上と言われているため、各地で充電待ちが発生している状況です。充電待ちになった場合、前の人の充電が終わるまで最低でも40分は待つ必要があります。
しかし、以前はディーラーなどに限られていた充電スタンドが近年はショッピングセンターやホテル、マンションの駐車場などにも設置されるようになっています。家庭用の充電設備があると安心ですが、今後充電スタンドの数も増えていくことが予想されるので、利便性は確実に向上していくでしょう。
車の買い替えを検討しているなら?
今の車を処分して新車への買い替えを検討している場合は、今の車を高く売ることでトータルコストを抑えることが可能となります。そこで重要なのが、海外に販路を持つ中古車買取業者に買取を依頼することです。
近年、海外での日本車の需要が上昇し、中古車であっても日本車は海外で高値で取引されるようになりました。そのため、海外への販路を持つ中古車買取業者であれば、高値で買い取ることができるのです。
カーネクストは海外への独自の販路を持っているため、低年式車や過走行車であっても高値でお買取できることもあります。ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
政府は環境に配慮した車の普及を進めるため、クリーンエネルギーカーの免税・減税や給付金の支給などを行っており、中でも電気自動車は現在、かなりお得に購入することができます。その他にもメリットがたくさんある電気自動車ですが、日本ではまだ電気自動車に適した環境が整っていないことにより、いくつかのデメリットもあります。電気自動車を購入する際は、メリットとデメリットの両方を踏まえた上で検討するようにしましょう。
とはいえ、日本政府は2030年半ば頃までにガソリン車の販売を全面的に禁止する意向を示しています。また、欧米などではガソリン車と同様にハイブリッド車の販売も禁止する動きがあります。日本でもガソリン車と同様にハイブリッド車などの販売が禁止されるのかどうかはまだ分かりませんが、来るべき未来を見据え、電気自動車の購入を考えてもいいのかもしれません。