どのような小さな車の傷でも、気づいたらすぐに修理することをおすすめします。なぜなら目立たない傷だからといって放置していると、傷が広がったり錆が発生するといった弊害があるからです。そうは言っても運転操作の誤りで壁やコンクリート塀などに擦った傷だけでなく、道路脇にある草木の接触や飛び石といった不可抗力で車に傷がつくケースも少なくありません。不可抗力による傷にはなかなか気づきにくいものの、日頃から愛車の点検を行うことが大切です。傷に気づいたら速やかに修理することで、傷による被害を最小限に抑えられます。
目次
軽い傷であれば自分で修理する!
車に傷がつくと、ディーラーやカー用品店といった業者に修理を依頼するべきだと考えがちです。しかし、へこみを伴わない小さな傷の場合、業者に依頼しなくても自分で修理できます。なぜならカー用品店やホームセンターなどでは、傷が修理できる以下のような道具が揃っているからです。
- コンパウンド
- パテ
- タッチアップペン
- 補修液 など
ただし、深いへこみや複数のパーツを跨ぐ広い範囲の傷の場合、自分で修理するには限界があるのが現状です。傷の状態が重く、傷がつく前の状態に限りなく近い仕上がりを目指すのであれば、業者に依頼する方が良いケースもあります。自分で修理する前に車についた汚れや油分を拭き取っておくと、綺麗な仕上がりが期待できます。
コンパウンドの場合
傷の種類によって、準備しなければならない道具が異なります。例えば浅めの傷の場合、カー用品店やホームセンターでコンパウンドを準備しましょう。コンパウンドとは研磨粒子が配合されており、スポンジやクロスにつけて磨くことで傷の表面を滑らかにしてくれます。ただし、力を入れて強く削り過ぎると傷が広がるリスクがあるため、程よい力で少しずつ削っていくことがポイントです。コンパウンドは、安いものだと1,000程度で手に入れられます。
タッチアップペンの場合
道路脇にある草木の接触などによってできた引っかき傷の場合、タッチアップペン、コンパウンドを使えば自分で修理できます。まずは傷のついた部分をコンパウンドで磨き、ボディカラーに合ったタッチアップペンを塗っていきます。綺麗に仕上げるためにはタッチアップペンを使用する度に塗料をきちんと乾燥させてからコンパウンドで削ることがポイントです。なお、傷の状態によってはコンパウンドだけでも十分修復できます。タッチアップペンは、500~1,000円程度が相場です。
パテの場合
小さなへこみがある場合はパテを使って修復すると、傷による凹凸が目立ちにくくなります。パテは傷やへこみによる凹凸を埋めるための充填剤で、傷の部分に少しずつ盛り付けるように使います。パテは1,000~2,000円程度で、薄付け用や厚付け用といった複数の種類があり、用途に合わせて選べます。
補修液の場合
フロントガラスについた飛び石による傷の場合、補修液を使うと簡単に修復できます。補修液はガラスに注入して修復するのですが、難易度が高いことがデメリットです。綺麗に仕上げるには、作業前に汚れだけでなく水分や油分を完全に取り除くことがポイントです。補修液の相場は1,000~2,000円程度で、補修用器具がセットになった商品では3,000円を上回ります。
車の傷を業者に依頼して修理する方法
傷の修理を業者に依頼する場合、綺麗な仕上がりが期待できるので安心です。その一方で自分で修理するよりも費用がかかり、傷の部位や状態によっては高額になりがちです。
ディーラーの場合
車を購入する際に利用するディーラーでは、車検や修理といったメンテナンスも行っています。特に車種やメーカーによって異なるボディカラーの調合は難しいため、ディーラーに任せておけば安心です。まずはディーラーに連絡し、傷の状態を確認した上で見積もりを出してもらいましょう。他に必要なメンテナンスがある場合、同時に作業を依頼できるので便利です。大手自動車メーカー「Honda」の場合、板金が必要となる傷では5~10万円程度かかります。
修理業者の場合
修理業者に依頼する場合、ディーラーと同じくまずは連絡して傷の状態を確認してもらいます。その上で見積もりを提示してもらい、約束の日時に車を持ち込むといった流れです。自動車板金修理フランチャイズチェーン「カーコンビニ倶楽部」の場合、国産車のフロントバンパーの擦り傷を修理すると13,000~25,000円程度の費用がかかります。ディーラーに比べると、修理業者に依頼した方が費用が安いことがわかります。
車の傷の修理費用を抑える方法
傷の状態や範囲によって費用は異なりますが、業者に修理を依頼すると高額になりがちです。それでも業者に依頼すると決めたのであれば、できるだけお得な方法で修理を完了させましょう。
ディーラーではなく修理業者に直接依頼する
傷の修理を依頼する際には、ディーラーではなく修理業者に直接依頼した方がお得です。なぜならディーラーが提示する費用には、見積もり料金や手数料などが上乗せされているからです。見積もり料金は修理費用の5~10%程度に設定されており、ディーラーによって上乗せされるパーセンテージは異なります。したがって、ディーラーに修理を依頼すると高額になりやすいため、修理業者に依頼した方がお得だといえます。
複数の修理業者から見積もりをもらう
修理業者に傷の修理を依頼する場合、複数の業者に見積もりを依頼することが大切です。なぜなら同じ状態の傷を修理する場合でも修理業者によって費用が異なるからです。多くの修理業者はディーラーと異なり、見積もり料金を無料で行っているため、余分な料金はかかりません。そのため、見積もりを依頼した後でも提示された費用に納得できなければ気軽にキャンセルできます。
車の傷を修理するメリット・デメリット
傷ができれば修理をするのは当たり前のことですが、修理代など費用の面から修理を後回しにしてしまう人も多いです。傷の種類によっては修理を慌てなくてもよい場合もありますが、それらの傷であってもずっと放置しておくのはNGです。今すぐに修理が必要ではないというだけで、のちのちまで絶対に修理が不要なわけではありませんし、修理をしてはいけないわけでもありません。車傷ができれば修理をするのは大切なことであり、修理することで得られるメリットもたくさんあります。また、同時に修理をしないことによるデメリットもさまざまありますので、それらもきちんと知っておくことが大切です。車に傷がつけば修理は必須ですが、なぜ修理しなければいけないのか、基本的な部分から考えてみましょう。
修理のメリット
まず車傷を修理するメリットですが、傷は直せば見た目に美しいことが挙げられます。傷がついた状態では見栄えがよくありませんし、恥ずかしく思う人も多いです。また、大きな傷があれば運転が下手に思われてしまうこともありますし、傷のないきれいな車に乗っている方が格好もよいです。また、傷は修理すれば現状回復するだけではなく、直すことで車の耐久性が上がることもあります。きれいに修理すれば、以前よりもよい状態で戻ってきますので、修理代はかかるものの長く乗ることができ、結果的にお得になるケースも多いです。
修理しないデメリット
車傷を修理しないデメリットとしては、傷は放置しているとどんどん広がり、状態の悪化を招くことが挙げられます。どんなに小さな傷でも放っておけばそこから錆が発生しますし、さらに放置すれば錆はどんどん広がり、関係のない部品にまで腐食して悪影響を及ぼします。錆が広がれば修理代がさらにかさみますし、最悪の場合は腐食して穴が開き、修理ができない可能性もあります。穴が開いた場合は修理ではなく、パーツ交換となり、費用もさらに高いです。結果的に修理代は高くなりますし、車の寿命が短くなることも大きなデメリットです。
車に傷ができる原因を確認しておこう!
車に傷がつく原因はさまざまで、気づかないうちについてしまう小さな傷もあるため、日頃の点検が大切です。以下の項目では、傷の原因と共に傷を防ぐ方法も解説していきます。
持ち物の接触
乗り降りの際や荷物の積み下ろしをする際に、持ち物が接触して小さな傷ができるケースがあります。持ち物が接触したくらいでは傷がつかないと考えがちですが、持ち物についている金属などが接触すると傷がつきやすいと言えるでしょう。最近ではリモートキーが主流となっているものの、従来型の鍵を使っているケースも少なくありません。鍵穴に上手く鍵が刺さらず、滑って車体を傷つける可能性も考えられます。
操作ミスによる接触
車を運転する以上、ドライバーは事故に細心の注意を払わなければなりません。人との接触はもちろんですが、コンクリート塀や柱といった物体への接触にも注意が必要です。2011年に日本損害保険協会が公表したデータによると、物損事故は人身事故の約6倍発生していることがわかっています。このデータからも誰もが物損事故を起こすリスクは潜んでいることを肝に銘じて安全な運転を心がけましょう。
飛び石
道路には走行に支障がない程度の小石が散乱しており、タイヤの溝に挟まることがあります。これが走行時の衝撃などによって飛び出し、車体を傷つける「飛び石」の原因だと考えられています。また、前を走行中の車から飛び石被害を受けるケースもあり、ボンネットやサイドステップが傷ついてしまいます。
自然現象
台風が発生した際の飛来物が車体に当たることで、傷がつくケースも考えられます。近年、特に多いと言われているのが黄砂です。黄砂は偏西風の影響で中国から運ばれ、毎年春頃になると農作物への被害が認められています。黒や紺を基調とした車では、黄砂の影響で汚れが目立つといった状況に悩まされる人も多いのではないでしょうか。黄砂は小さな砂埃であることから、小さな傷を作る原因になるので注意が必要です。
洗車
愛車を綺麗な状態に保つために、頻繁に洗車する人も多いのではないでしょうか。しかし、洗車の際には目立ちにくい小さな傷がつく可能性があるため、注意が必要です。なぜなら車体に付着した汚れや砂といった固いものがついたまま洗車すると、これらが車体を擦る形になるからです。したがって、洗車の際には予め汚れや砂などを落としておくことが大切です。
動物被害
野良猫が棲みついている駐車場を利用している人もいるのではないでしょうか。運転後のボンネットはエンジンで温まっているため、冬場になると猫がボンネットで暖をとる風景も見受けられます。しかし、猫の爪は非常に鋭いため、気づかないうちにひっかき傷がついている可能性も考えられます。
軽い傷の場合は自分で修理して費用を抑えよう
車についた傷を放置しておくと悪化する可能性があるため、修理の手段に関わらず速やかに修理しておくことが大切です。業者に依頼すると数万円程度費用がかかるため、時間にゆとりがある場合はこれを機に自分での修理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。自分で修理すれば複数の道具を揃えても数千円程度で済むため、お得に修理できます。経験を積めばスキルも身に付くため、次に傷がついたとしても安心です。