4月からの新生活、就職・転職・入学などライフスタイルの変化に合わせて車を購入した方も多いのではないでしょうか。
中古車購入したり知人・家族から車を譲り受けた車に車検が残っている場合、所有者の名義変更手続きを終えてすぐに乗り始めようとしていませんか?
車検が残っている車を購入したり、譲り受けた時に忘れてしまいがちなことが「自賠責保険の名義変更」です。
「自賠責保険の名義変更はしなくてはいけないの?」「自賠責保険の名義変更をしていないと困ることはあるの?」「自賠責保険の名義変更はどうやってするの?」
自賠責保険の名義変更に関するこのような疑問について、こちらで解説しています。
目次
自賠責保険の名義変更はしなくてはいけないの?
自賠責保険とは、車一台につき必ず加入しなければいけない強制保険となっており、自動車の車検有効期限と同期間またはそれ以上の期間加入する必要があります。そのため、中古車や譲渡された車に車検が残っている場合、自賠責保険の保険期間も残っていることになります。購入したり譲り受けた車の名義変更を行い、ご自身の名義になった車が入っている自賠責保険は名義変更しなくてはいけないのでしょうか。
自賠責保険は車が加入する保険
自動車損害賠償保障法により、自動車の運行をするには自賠責保険の加入が義務付けられています。自動車の運行をする者ではなく自動車が加入している保険になりますので、車の所有者が変更になっても保険の内容に関して基本的な問題はないのです。
自動車損害賠償保障法(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)
第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
名義変更していなくても自賠責保険の補償はされる
自賠責保険は、自動車の運行中に他人に怪我をさせたり死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償する保険です。そのため自賠責保険の補償対象は保険加入者ではなく、保険加入している車が、運行中に怪我をさせたり死亡させてしまった被害者です。また、車の運行をしていた加害者が不誠実だったり金銭面で折り合いがつかないといった時も、自賠責保険の損害賠償額は怪我してしまった被害者側から保険会社へ、直接請求ができます。もしも自賠責保険証に登録記載されている人が現在の車の所有者名義と異なり保険の名義は変更されてなくても、直接被害者から請求が出来るため、自賠責保険の補償が出来ないといった問題はおこりません。
自賠責保険の名義変更をしていないと困ることはあるの?
では前述したように、自賠責保険の名義は車の所有者と違っているが補償が問題なくされるのであれば、車の所有する人が変わっても自賠責保険証明書の契約者変更はしなくてよいのでしょうか。
自賠責保険の請求時や支払い手続きが面倒
万が一、自賠責保険に加入している車を運行中に事故を起こしてしまい、他者へ怪我をさせてしまったり死亡させてしまった時は、自賠責保険の保険金の請求を行います。この保険金の請求は保険会社へ行います。保険会社へ、事故を起こした加害者が被害者へ支払うために請求する場合、自賠責保険証明書の契約者本人でない時は、所有者が確認できる車検証や車購入時の書類などを用意して運行した本人であることがわかる書面の提示が必要になることがあります。自賠責保険証明書の契約者本人が車検証上の所有者本人であれば、本人確認書類のみで手続きがスムーズになることも多く、本人ではないだけで書類の確保など面倒が増えてしまうことがあるのです。
自賠責保険証明書の再交付に時間がかかる
自賠責保険証明書は、自動車運行の際に常に携帯しておかなければならない書類です。もしも毀損や汚損してしまって内容が確認できなくなっていたり、紛失してしまった時は保険会社へ再交付を依頼する必要があります。この時、再交付の依頼をするには自賠責保険証明書の契約者の印鑑と本人確認書類をもって本人が窓口へ行くか、再交付申請書に契約者の捺印を押印し、本人確認書類を持って窓口で手続きをする必要があります。
そのため、自賠責保険証明書の名義を変更していない状態で自賠責保険証明書の再交付をしようとすると、必要な書類を揃えるために時間がかかったり、元々の契約者と連絡が取れない等あった場合、再交付が出来なかったり、時間がかかってしまい、車の事故などを起こして保険証明書が必要になった時に困ってしまうのです。
自賠責保険証明書の紛失による罰則がある?
自賠責保険証明書は、自動車損害賠償保障法の第八条により自動車に備え付けていないと運行してはならないと定められています。もしも運行の際に自賠責保険証明書を備え付けていない場合、違反行為として取り締まられ、三十万円以下の罰金に処されます。
自賠責保険の名義変更はどうやってするの?
自賠責保険証明書の名義変更はされていなくても、万が一の事故の際の相手側への補償は行われます。しかし、支払手続きの際に証明書の提示が必要となって面倒だったり、自賠責保険証明書の毀損や紛失時の再交付に時間がかかってしまうことをご紹介しました。
では、中古車購入時や車を譲り受けた時に自賠責保険証明書の名義変更(権利譲渡)はどのような方法で行うことができるのでしょうか。
自賠責保険証明書の名義変更の方法は
自賠責保険証明書の名義変更は、加入している保険会社の窓口で行うことが出来ます。車の旧所有者で自賠責保険証明書の名義人が権利譲渡を保険会社へ依頼する場合と、車の新所有者で譲り受けた人が権利譲渡を保険会社へ依頼する場合どちらも、名義変更が可能です。車の新所有者が自賠責保険の名義を変更する場合は、保険契約者の代理人として行います。
車の旧所有者が自賠責保険の名義を変更する場合
必要書類
{譲渡人と譲受人の認印が押印されている自賠責保険承認請求書、自賠責保険証明書原本}
保険会社の窓口で譲渡人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)を提示し、権利譲渡の手続きを依頼します。
車の新所有者が自賠責保険の名義を変更する場合
必要書類
{譲渡人の実印と、譲受人の印が押印されている自賠責保険承認請求書、自賠責保険証明書原本、譲渡人の印鑑登録証明書}
もしも譲渡人の実印押印と印鑑登録証明書の用意ができない場合は、車の所有者が新所有者に変更されている名義変更後の自動車検査証(車検が不要の場合は軽自動車届出済証や原付であれば標識交付証明書等)を、保険会社の窓口へ持参し、権利譲渡の手続きを依頼します。
自賠責保険の有効期間は、車検の満了期間と同期間または車検期間に一か月ほど多く余裕をもって加入していることがほとんどです。ディーラーや整備工場などで車検を受ける場合は同店舗で自賠責保険の代理店業務も行っていることが多く、車検と合わせて自賠責保険の手続きも依頼することが出来るため、車を購入や譲受後に自賠責保険を名義変更していなかったのであれば、車検を受ける時に車検を受ける整備工場等へ自賠責保険の名義変更も合わせて依頼するとご自身で窓口に行く等の手間を省くことが出来ます。
まとめ
自賠責保険証明書の名義変更をしてしなくても、万が一の際の保険金や損害賠償金の請求は問題なく行うことが出来ます。しかし、自賠責保険の契約者が車の所有者と異なる場合、保険証明書の再交付を依頼する時や保険金の請求時に必要な書類を揃えるなどの手間があるため、時間がかかってしまうことで損をしたり困ってしまうことがあるでしょう。中古車購入や車を譲ってもらった時は、出来るだけ早く自賠責保険の名義変更も行っておくことをおすすめします。
自賠責保険証明書の名義変更(権利譲渡)の手続きに必要な書類は、基本的にどの保険会社であっても相違がありませんが、手続きが可能な窓口や郵送での手続きが可能かどうかなどは保険会社によって異なります。
まずはお問い合わせ窓口や、保険会社の代理店等で問い合わせてみましょう。