車の運転中、ドライバーから目に留まる位置に【メーターパネル】があり、そのパネル上では車に異常があった時やドライバーに警告・注意を促すための警告灯表示があります。警告灯にはいくつか種類があり、「どのような警告・注意が表示されているか」は、色や形で判断しなくてはいけないため、ドライバーは一定以上の知識を持っておく必要があります。
警告灯の点灯・点滅があった時、驚いてパニックになってしまうことがないように、予め最低限は知っておくと安心な知識について解説します。
車の警告灯の色による危険度レベルは
車の警告灯について、大前提で覚えておくべきことは、「警告灯は色によって危険度レベル」を表しているということです。
車の警告灯は、赤色・黄色・緑色・白色のいずれかの色で点灯します。それぞれが示している内容は以下の表になります。
| 点灯色 | 示す内容 |
|---|---|
| 赤色 | 緊急性が最も高い。速やかに安全な場所へ車を寄せて停車が必要 |
| 黄色・オレンジ色 | すぐに停車する必要はないが、早めに点検が必要 |
| 緑色・青色 | 異常を伝えるものではない、正常に作動中であることを伝えている |
| 白色 | 異常を伝えるものではない、正常に作動中であることを伝えている |
表示灯の色分けやシンボルマークについては、ISO（国際標準化機構）によって定められているため、国産車だけでなく海外の車でも同様にメーターパネルの表示から視認できます。
危険性の高い赤色の警告灯表示内容、注意すべき黄色の警告灯表示内容をご紹介します。
走るな危険！危機感が必要な赤色の警告灯
以下の赤色の警告灯が点灯・点滅している場合は、そのまま走行を続けると危険なため、直ちに走行をやめなくてはいけません。走行中の場合は安全な路肩等へ車を寄せて停車させ、ディーラーまたは保険会社等へ連絡してください。
- 油圧警告灯
- 充電警告灯
- ブレーキ警告灯
- SRSエアバッグ警告灯
- 高水温警告灯（赤色表示）
油圧警告灯
油圧警告灯（Oil Warning Light）が点灯した時は、走行中の車を安全な路肩（道路の端）に寄せて、直ちに停車してください。エンジンシステム内部で油圧が低下した時、点灯する警告灯となっているためエンジンに異常があり、走行を続けるとエンジンが破損して故障し、大きな事故へとつながる恐れがあります。見た目は魔法のランプのような形をしています。
充電警告灯
充電警告灯（Battery Warning Light）が点灯した時は、走行中の車の電装品の電源を切り極力は電力を使わないようにして、安全な路肩（道路の端）に寄せて停車させてください。バッテリーの充電が故障等の不具合で出来ていない可能性があり、充電量がゼロ（完全放電）になると走行不能になってしまいます。見た目はバッテリーを横から覗いたときの形をしています。
ブレーキ警告灯
ブレーキ警告灯（Brake Warning Light）が点灯した時は、ブレーキの効きが悪くなる故障状態の可能性があり、走行を続けると危険です。速やかに安全な路肩（道路の端）へ寄せて、停車させてください。フットブレーキの効きが悪い時は、強く踏み込んで停車するよう働きかけます。見た目はビックリマークを丸とかっこで囲んだ形をしています。
SRSエアバッグ警告灯
SRSエアバッグ警告灯（Supplemental Restraint System Airbag Warning Light）が点灯した時は、エアバッグとシートベルトプリテンショナーに異常があり、事故があった時に正常に作動せず、エアバッグの衝撃やシートベルトのたるみが起こって重大な怪我を負う危険性があります。安全な場所へ車を寄せて走行を辞め、安全な場所で救援を依頼し待つようにしましょう。見た目はシートベルトを付けた乗員と丸の形をしています。
高水温警告灯（赤色表示）
高水温警告灯（Temperature Warning Light）が赤色に点灯した時は、エンジンの温度を下げる冷却水（クーラント液）の温度が下がらず異常に高い温度になっていることを示します。エンジンを冷却する機能が正常に作動できないため、そのまま走行を続けるとエンジンが焼き付いてオーバーヒートを起こし、故障して治らない可能性がありますので、安全な場所へ車を寄せて停車させてください。見た目は水の中にヨットが浮かんでいるような形をしています。
マスターウォーニング
マスターウォーニング（Master Warning Light）が点灯した時は、車の各システムのいずれかに異常が発生していることを示しています。システムのトラブルが、電気系統やエンジンの制御ユニット、電圧制御ユニット、センサー異常などの場合、突然走行不能になるなどの危険性がありますので、直ちに路肩（道路の端）へ車を寄せて停車させてください。見た目はビックリマークを三角形で囲んでいる形をしています。
速めに点検！要注意すべき黄色の警告灯
以下の黄色または赤色の警告灯が点灯・点滅している場合は、安全な場所で停車して必要な処置を行う、もしくは高速走行や急ブレーキを避けて、早めにディーラーや整備工場等で車の点検を受けるようにしてください。
- 故障警告灯（MIL）
- ABS警告灯
- VDC警告灯
- 燃料残量警告灯
- シートベルト警告灯
- 半ドア警告灯
故障警告灯（エンジン警告灯）
故障警告灯（エンジン警告灯）が黄色に点灯している時は、エンジンまたはトランスミッションに異常が検知されている時になります。走行はできる状態ではあるものの、高速走行や長距離移動を避けて、速やかにディーラーもしくは整備工場で点検を受けるようにしましょう。また、エンジンをかける前の電装品に電源が入るタイミングで一度点灯し、エンジンがかかると消灯するようになっていますが、正常時の仕様のため特に異常ありません。見た目はヘリコプターを横から見た形をしています。
ABS警告灯（ブレーキアシスト警告灯）
ABS警告灯（ブレーキアシスト警告灯）が黄色に点灯している時は、ABSシステムに異常がある時です。ABSとはアンチロック・ブレーキ・システムの略称で、急ブレーキ時にタイヤロックがかかってハンドルが効かないなどの危険を防いで車両の走行安定性を保つために、ブレーキをアシストするシステム（機能）のことです。点灯後も走行はできますが、高速走行や坂道走行を避けて、速やかに点検を受けるようにしましょう。見た目はABSの文字を丸とかっこで囲んでいる形をしています。
VDC警告灯
VDC警告灯が黄色に点灯している時は、横滑り等の抑制システムに異常がある時です。VDCはビークルダイナミクスコントロールの略称で、車が横滑りをしないように車両安定性を向上させたり、上り坂での発進時に駆動輪が空転しないように補助したりする抑制システムのことです。点灯後も走行を続けることはできますが、走行安定性が下がりますので早めに点検整備を受けるようにしましょう。見た目は車の後ろに波線がある形をしています。
燃料残量警告灯
燃料残量警告灯（ガソリン残量警告灯）が黄色に点灯している時は、燃料の残量が少ないことを警告しています。速やかに補給を行いましょう。どの残量まで減少しているかどうかは、メーカー・車種ごとに異なります。見た目はガソリンスタンドの給油機の形をしていて、左側の三角形は、燃料給油口が車両の左サイドにあることを示しています。
シートベルト警告灯
シートベルト警告灯は、運転席、助手席、後部座席の乗員いずれかがシートベルトを装着していない時に点灯します。点灯だけでなく、点滅や音による警告もあります。シートベルトの装着は安全な運行にも必須となっているので、どのシートに座った時も走行を始める前にすぐに装着しましょう。見た目はシートベルトをつけた乗員を正面から見た形をしています。
半ドア警告灯
半ドア警告灯は、車の前後左右のドアもしくはバックドアが完全に閉まっていない状態になっている時に点灯します。走行中に突然ドアが開いて大きな事故に繋がる可能性もありますので、安全なところへ停車してすぐに対応してください。見た目は車のドアが一つだけ開いている状態を上から見た形をしています。
車の警告灯が点灯したまま走行したら違反行為？
車の走行中に警告灯が点灯していることに気付いたものの、そのまま走行を続けた場合はどうなるのでしょうか。
警告灯が点灯している状態で走行を続けるとどうなるか
走行中の車のメーターパネル付近を見た時に警告灯が点灯していることに気付いたものの、気に留めずそのまま走行を続けてしまうと、状態によっては大きな事故に繋がったり、故障の度合いがよりひどくなってしまい修理不可にまで陥る可能性があります。
まずは、点灯している警告灯の内容を調べることが重要ですので、走行中の方は車を安全な路肩等へ寄せてハザードランプを点灯させて停車し、車両取扱説明書で内容を確認して対応するようにしましょう。特に赤色の警告灯が点灯している場合は、内容によっては走行を続けると危険な状態の可能性もありますので、まずは確認が必要です。
警告灯がついたまま走ると交通違反になるのか
車の警告灯が点灯・点滅している状態で走行を続けること自体は、法律で交通違反と定められてはいません。しかし、警告灯の点灯で示している内容によっては、走行を続けることで整備不良状態の車の運行を行っていると見なされ、整備不良車両の運転という交通違反になる可能性はあります。特に赤色の警告灯が点灯している車の場合、安全な運転ができない状態で走行を続けていると判断されると、安全運転義務違反に問われる可能性もあります。
警告灯がついていると車は車検に通らない
前述したように、警告灯が点灯している車は状態次第で整備不良（保安基準を満たしていない）という交通違反が適用される可能性があります。保安基準を満たしていないということは、車検にも通らないということです。以下の警告灯が点灯している場合、点検基準により車検の審査を行わないと定められているため、車検に通ることができません。
- 故障警告灯（エンジン警告灯）
- ブレーキ警告灯
- ABS警告灯（ブレーキアシスト警告灯）
- エアバッグ警告灯（前方・サイド）
まとめ
こちらの記事では、車の警告灯が示す危険度や、警告灯が点灯している車での走行を続けるとどうなるのかなど詳しく解説しました。
もしも赤色の警告灯が点灯している場合は、走行を続けると大きな事故につながったり、故障の状態がひどくなり修理が完全にできない状態になることがあります。まず警告灯が点灯していることに気付いたら、車を安全な路肩や道路の端に寄せてハザードランプを点灯し、警告灯の内容を確認しましょう。警告灯の表示している内容を調べてみて、走行を続けることが難しい状態であれば、ディーラーや保険会社等に連絡を行いレッカー車を手配してもらうようにして、無理をして走行を続けないようにしてください。黄色の警告灯については、点灯していても走行を続けることはできますが、高速走行や急ブレーキなどを避けて、速やかに点検・整備を受けるようにしましょう。
