令和7年10月1日に道交法改正があり運転免許取得時の条件等に変更がありました。こちらの記事では、その変更内容について詳しく解説します。
まず大きな変更点が、道交法の外免切替手続きについてです。同年6月に公表された経済財政運営と改革の基本方針2025の【4章国民の安心・安全の確保 5項の外国人との秩序ある共生社会の実現内にあった外免切替手続き・社会保障制度等の適正化】を基に、内容が見直しされました。今回外国免許切替手続きの審査が厳格化されたことで、短期滞在となる外国人旅行客は日本の運転免許への切替ができなくなっています。
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外国免許があっても短期滞在では運転免許の取得はできない

法令改正があるまでは、外国での運転免許を取得していて日本に住んでいないため住民票がない人も、旅券と一時滞在証明があれば日本の運転免許を取得し、外国免許からの切り替えが可能になっていました。
それが令和7年10月1日の道路交通法施行規則改正によって、住民票が取得できない3カ月以下の短期滞在の外国人は、例外的な場合を除いて、住民票がなくては運転免許の取得ができなくなりました。
外国免許から日本の運転免許取得のために必要なもの
令和7年10月からは、外国での免許証を取得していて日本での運転免許を取得するには以下のものの提出が必要になります。
- 外国の運転免許証(交付日の記載が必要)の提示
- 外国の運転免許証の表裏コピー
- 外国の運転免許証の日本語翻訳証明書
- パスポート提示・パスポートのコピー
- 本籍が記載された住民票の写し※
- 在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、健康保険証、パスポート、学生証、社員証等の身分を証明する書類
- 写真(縦3cm・横2.4cm、無帽、正面、上三分身、無背景)
※外国人が住民票を取得するには、在留期間が3カ月を超える長中期在留者もしくは特別永住者などの、日本に住所を定めて在留している必要があります。そのため3カ月以下の観光目的等による短期滞在者の人は、住民票を取得することができません。また、住民票の写しは交付から6ヶ月以内のもので、コピーは提出不可となっています。
外国の方が日本の運転免許を更新するために必要なもの
外国人が日本での運転免許を更新する時には、令和7年10月から下記のものの提示が必要になります。
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 住民票の写し※
※一部例外者を除く住民票の提出・提示について
住民票の無い外国人のなかでも、外交官・モータースポーツイベントに出演する外国レーサーなど、一時的に来日する理由がある方は、権限ある機関が発行する身分を証明する書類を添付することで、免許取得が可能になります。
外国免許の切替で国によって必要になる追加書類
有効な外国免許証があり、住民票の写しの提出と本人確認書類の提示ができる方も、さらに国によって追加で必要書類が増える場合があります。一例をご紹介します。
国名 | 必要書類 | 国名 | 必要書類 |
---|---|---|---|
アメリカ合衆国 | 初回交付日が記載された運転経歴証明書 | パキスタン | 運転免許証証明書 |
インド | 運転免許証明書(各州警察) | フィリピン | Certification with APOSTILE License History Official Receipt(本国) |
インドネシア | 運転免許証明書 | ブラジル | 運転免許経歴証明書 (ブロンターリオ) |
オーストラリア | Driver License Details, Online Driving Record 等 出入国記録(大使館HP) | ベトナム | 認証(日本語訳が付いたもの) |
韓国 | 出入国記録 Certificate of Driver's License | 香港 | 運転免許経歴証明書 香港出入国記録(香港特別行政区入境事務所) 香港のIDカード |
タイ | 運転免許経歴証明書が必要な場合あり | マカオ | マカオ出入国記録 |
台湾 | 入出國日期証明書 (パスポートで滞在確認ができない場合のみ) | ミャンマー | 運転経歴証明書 (英文または日本語訳がついたもの) |
中国 | 出入国記録 (国家移民管理局にWebで申請) ※10年分を推奨 基本信息(車両管理所の公印) | メキシコ | 運転経歴証明書 |
ニュージーランド | 出入国記録(Web) | ネパール | Driving Record License Holders Details (本国外務省及び在日大使館の確認印) |
外免から日本の運転免許を取得する時の試験の難易度も上がる!

今回の道交法改正の背景には、基本的な交通ルールを理解していない状態で、外免切替によって免許を取得した外国人による交通事故の発生が起因の一つになっています。そのため、外免から日本の運転免許への切替の時に行われる知識確認と技能確認の内容が変更されました。
知識確認(学科試験)の内容はどのように変わったのか
外国免許証からの切り替えをするには、必要な書類を揃えるだけでなく、日本国内での運転をする際の知識があるかどうかを確認する学科試験を受ける必要があります。その知識確認の内容も、令和7年10月から変更されました。
これまでの知識確認の内容
運転に必要な知識の確認のため、イラスト問題10問を出題、審査基準は70%以上
改正後の知識確認の内容
基本的な交通ルールを十分に理解しているかどうかの確認のため
- イラスト問題を廃止(交通標識問題を除く)
- 問題数は50問、45問正解(正答率90%)が合格基準
- 審査基準は新規免許取得時と同様の90%以上になり厳格化
外国免許切替知識確認の問題は、令和7年10月現在は20言語対応(下記)となっています。
英語、スペイン語、ペルシャ語、韓国語、中国語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語、クメール語、ネパール語、ミャンマー語、モンゴル語、ウクライナ語、シンハラ語、ウルドゥー語、アラビア語、ヒンディー語
技能確認(技能試験)の内容はどのように変わったのか
運転に必要な技能があるかどうか、運転免許試験場内コースでの実車試験を受けます。審査基準は改正前まで70%以上となっていましたが、厳格化されたことにより新規免許取得時と同様の審査基準へと引き上げられました。
また、試験内容についても、これまでは運転の技能の試験のみとなっていましたが、横断歩道での通過等の課題や、合図不履行、右左折方法違反等についての採点が厳しく行われるように変更されました。
技能確認は、運転免許試験場で行われます。試験場によっては予約制のみの受付となっていて、当日受付ができず直接行っても受けることができない試験場もあります。知識確認・技能確認を受けて免許を切替たいと考えている場合は、試験場で予約が必要かどうか確認しましょう。
知識確認・技能確認が免除になる国について
上記でご紹介した知識確認・技能確認については、29か国(下記)の国の免許を所持している人の外免切替時には免除となります。
アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ・オレゴン・コロラド・バージニア・ハワイ・メリーランド州およびワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾
※アメリカ合衆国(インディアナ州)は技能確認のみ免除になります。
まとめ

こちらの記事では、令和7年10月の道交法改正によって変更があった「外国免許から運転免許への取得条件」に付いて詳しく解説しました。
特に海外からの外国観光客の人は、これまで取得できた日本での運転免許が短期滞在時(観光等を目的として3カ月以下)には取得できなくなっているため、移動手段として車の利用を考えていた場合は、再度移動方法等を検討されておく必要があります。また、3か月以上日本に滞在されていて免許切替えの予定がある方は、必要書類が増えていますので、事前にしっかり準備しないと書類不備で発行できない可能性があります。必要な条件等からチェックしておくと安心でしょう。