廃車

大切な愛車をスクラップするには|必要な手順や方法を知ろう

「大切な車を壊してしまった。車を買い替えたい。」、そういったときに困るのは手元にある車の処分の仕方。大きなものなので簡単に手放せない、と考えている方も多いでしょう。そんな悩みを解決する車のスクラップの手順や方法を説明していきます。

なぜ車をスクラップにするのか

車の処分方法としてはさまざまであり、必ずしもスクラップにする必要はありません。スクラップはあくまで方法のひとつですし、他にも業者に買い取ってもらうなど、愛車を手放す方法はいくらでもあります。スクラップにすることには理由がありますので、まずはスクラップ処分をする必要性について知っておきましょう。

永久抹消登録をするため

廃車手続きには、永久抹消登録という方法があり、これをおこなうには事前に車をスクラップにしていることが条件です。車を解体しておかなければ手続きを進められませんので、廃車するためにも、スクラップにします。 廃車方法としては、一時的に名義を消す一時抹消登録がありますが、この場合還付が受けられるのは自動車税のみです。永久抹消登録の場合は、自動車税に加えて重量税まで還付されますので、少しでも税金を取り戻すためにも、不要な車はスクラップにして、永久抹消登録するのがおすすめです。

スクラップ料金をもらうため

スクラップにすることを考えているということは、それだけ車の状態もボロボロであるということです。車の状態があまりにボロボロだと、買取に出しても値がつかず、場合によっては買取拒否をされる、引取だけでお金がかかってしまうこともあります。 スクラップにすれば、解体業者は車を金属資源として購入してくれますので、少しでもお金になります。

車をスクラップにしないとどうなるのか

スクラップにする以外でも車を手放す方法はありますが、選択肢のひとつとしてスクラップを考えるということは、車の状態は悪い場合が多いです。仮に不動車を保有しているとするなら、なおさらスクラップにして処分してしまった方がよいです。不動車をスクラップにせず、そのまま保有し続けているとどのような弊害があるのか知っておきましょう。

不動車でも維持費はかかる

車は税金を始めとしてさまざまな費用がかかりますし、それは不動車であっても同じです。動かなくても車の名義を持っていれば税金はかかりますし、ガレージを借りているならその費用も必要です。ですので、維持費を減らすためにも、スクラップにして処分した方がよいでしょう。

修理しないなら手放した方がよい

故障している車であれば、修理をすればそのまま使えますが、直す気がないならスクラップにして処分してしまった方がよいです。修理をせずに放っておけばさらに故障は悪化しますし、いざ直そうと思い立った場合に修理できず、修理は可能でも費用がかかりすぎる場合があります。 また一時抹消登録をして名義を消した場合でも、税金の課税は免れますが、一部の税金については還付が受けられませんし、何より使わない車を保管しておく場所がもったいないです。修理するならすぐにおこなった方がよいですし、修理の意思がないなら、スクラップにして処分した方がメリットは大きいでしょう。

車をスクラップにする時の流れ

大切に乗ってきた車を手放すためには何が必要なのでしょうか。まずは車のスクラップはどのような手順で行っていくのか、みていきましょう。

解体業者を選ぶ

自動車解体業者はたくさんありますが、そのすべてが同じ方法で車を解体し、同じようなリサイクル処理をしているわけではありません。そのため、買い取り価格にも大きな差があるのです。まずは、事故車や故障車の解体を担当してくれる業者を探しましょう。中には走行不能な車でも買い取りが可能な業者もあります。

車両の運搬を行う

処分する際には、解体業者まで車を運搬しなくてはなりません。もちろん車を引き取りに来てくれるサービスが備わっている会社もあります。この場合、運搬料がかかることもありますので、比較してみるとよいでしょう。距離によって金額が違うので、出来るだけ自宅に近いところを選ぶようにしましょう。 自走できない車の場合は、レッカーでの移動が必要です。レッカー車での移動が無料の会社もあります。ナンバープレートは外して保管しておきましょう。 ナンバープレートは自宅でも外すことが可能です。ドライバー(プラスとマイナス)と、さび付いて廻らないこともありますので必要ならば、10mmのメガレンチがあるとよいでしょう。プラスドライバーは少し大きめのものを用意します。十字の溝に丁度収まる大きさがベストです。 また、うしろのナンバープレートの封印は、マイナスのドライバーで端をグッと押すようにしてこじ開けてからあけてください。

解体報告記録日と移動報告番号をメモする

車のスクラップが完了したと業者から連絡を受けた日をメモしておき、移動報告番号を知らせてもらいましょう。また、リサイクル券番号のハイフンを除いた番号が、移動報告番号となります。 解体報告記録日は、廃車を依頼した引取業者へ確認するか、自動車リサイクルシステムのホームページで確認しましょう。ホームページ内にある使用済自動車処理状況検索(車両状況照会機能)で、車台番号下4ケタと登録番号(車両番号)を入力して検索すると、確認することができます。解体報告記録日は、のちに申請書類に書く必要があるのでこの作業は忘れないようにしましょう。

廃車の手続きを行う

業者に廃車の手続きを代行してもらうか、自分で廃車の手続きを行うかの二種類の方法があります。業者に頼む場合は、業者のやり方に従って手続きを進めましょう。自分で手続きをする場合は、自分で運輸局などへ行き、手続きを行います。その方法のなかから、「一時抹消手続き」について、手順を簡単にご紹介します。

一時抹消手続き

一時抹消手続きを行うためには以下の書類が必要です。

  • 自動車検査証
  • 自動車税、自動車取得税申告書
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • ナンバープレート

必要書類を準備できたらお住まいの運輸局に行きます。まず、ナンバープレートの返却を行いましょう。手数料納付書をもらい、ナンバープレートの番号を記入し、ナンバープレートと手数料納付書を窓口へ渡します。手数料納付書へ受領印を押印したものが返却されますので、その手数料納付書に印紙等を貼り、運輸局内の申請窓口に提出しましょう。 書類に不備がなければ「登録識別情報等通知書(一時抹消済)」をもらえます。この書類は永久抹消登録のときに使うので、必ず保管しておいてください。

スクラップ後は廃車が必須

愛車をスクラップにすればそれで処分は終わりではなく、さらに廃車手続きまで完了させなければなりません。車本体を処分しただけでは、手続きは終わっていませんので注意が必要です。なぜ廃車が必要なのかを知って、廃車の重要性を理解しておきましょう。

廃車にしないと自動車税がかかり続ける

スクラップにすれば車両としては処分したことになりますが、現物がなくなっただけで書類上は名義は残ったままです。自動車税は毎年4月1日時点で名義を持っている人に課税されますし、名義さえ持っていれば車両の有無に関係なく税金がかかってしまいます。 スクラップにしても、廃車手続きをしていなければいつまでも税金がかかり続けますので、スクラップ後は忘れずに廃車までおこなわなければなりません。

廃車にすれば税金が還付される

スクラップ後に忘れずに廃車にすべきなのは、廃車手続きをしないと税金などの還付が受けられないからです。自動車税は廃車した翌月から次の3月までの期間で月割り計算によって還付金が決定します。重量税は廃車翌月から車検の残存期間に応じて金額は決まり、どちらも廃車が遅くなれば受け取れる金額が減ってしまいます。 廃車手続きをしないと、そもそも税金は還付されませんが、手続きが遅くなることで還付金額が減ってしまうことは覚えておきましょう。

車をスクラップにする時の注意点

スクラップにする際には、どのような注意点があるのかみていきましょう。

名義は変更する必要がある

自動車を廃車するためには、「抹消登録」の手続きが必要です。自動車の所有者が、親や自動車を譲ってくれた友人など、他人名義である場合は、まず名義変更をして廃車処理を行いましょう。この手続きを「移転抹消」といいます。 他人名義の自動車を使っているかどうかは、自動車検査証の使用者と所有者の欄で確認しましょう。自動車の名義変更は、陸運局などですることが可能です。業者に廃車の手続きを代行してもらうときに必要な書類は下記の通りです。

  • 車検証の原本
  • 新所有者の印鑑証明書1通 (発行から3カ月以内のもの)
  • 新所有者の印鑑証明書と同一の実印 (譲渡証・委任状に押印するため)
  • 旧所有者の印鑑証明書1通 (車検証記載の所有者のもので、発行から3カ月以内のもの)
  • 旧所有者の印鑑証明書と同一の実印 (譲渡証・委任状に押印するため)

スクラップにする前に査定してもらう

事故や故障でまったく動かなくなってしまった愛車。それでも買取の可能な場合もあります。せっかくなら、手放す前にご自身の車を査定してもらいましょう。意外な金額が付くかもしれません。

ローンが残っていないか確認する

車のローンが残っている場合は、一括返済してからスクラップにする必要があります。またローンの支払が免除される特例もあるため、ローン会社に相談してみましょう。 ローンで購入した場合には、自分の名前ではなくディーラーやローン会社の名前になっていることがありますので、まずは車検証を確認してみましょう。所有者が自分以外の場合には、所有権が他にありますので、当然のことながら勝手に廃車にすることはできません。 まずは所有者名義を変更する必要があります。この手続きをディーラーが行ってくれるところもありますので、車を購入したディーラーに確認してみましょう。

鉄の買取相場は変動する

ナンバープレートを外し、必要書類を作り終えた後、直接鉄くず工場へ持ち込んで車を破棄するという方法もあります。そうすると、車は1kg当たりの鉄の重さで買い取ってもらうということとなります。 大体鉄の買取相場は1kgあたり15円~20円、これも地域や時期によって変動することもあるので鉄くず工場に行く前に一度調べてみるとよいでしょう。

車をスクラップにした後の手続き

車をスクラップにして、手元からなくなるとすべて終わったような気持ちになりますが、まだ大事な仕事がいくつか残っています。ひとつずつ、確認して行きましょう。

運輸支局で廃車の手続きを行う

スクラップにされてしまった車の手続きを運輸局で行います。今回はスクラップをした後の手続きなので、車の永久抹消登録を運輸局にしにいきます。永久抹消の特長は、「車両登録が不可能な状態」ということです。 たとえば、公道を走るつもりは無いけれど、私道を走るという方は一時抹消を選べますが、永久抹消の場合、車を解体した後で車が存在せず走行もできません。そのため、再度車両登録もできず、もうその車に乗ることは無いという人が取る方法です。永久抹消登録には車両の解体後、解体業者からもらう「解体証明書」が必要です。

自賠責保険の解約を行う

自賠責保険は、法律で加入することが義務付けられており、いわゆる「強制加入」と呼ばれている保険です。すべての車保有者に義務付けられているものなので、忘れずに保険会社に連絡して、自賠責保険の解約を行いましょう。払いすぎた保険料は解約した日から月割で払い戻されます。必要な書類は、以下の通りです。

  • 印鑑
  • 自賠責保険証明書
  • 自動車の廃車が確認できる書類
  • 保険契約者本人であることの確認書類(運転免許証・健康保険証など)
  • 振込先となる銀行口座番号(解約条件によって保険料が返還されない場合あり)

自動車重量税の返金を申請する

自動車重量税は国税で車検を受けている自動車に課せられる税金のことです。自動車重量税の返金手続きは、自動車を解体した後に「永久抹消登録」の手続きと同時に行えます。返金の申請書は、永久抹消登録の申請書と一緒になっているので、廃車の手続きと同時に、自動車重量税の返金の手続きもしてしまいましょう。 ちなみに、重量税の返金には審査があり、しかも、審査には約3カ月もかかりますが、審査に通れば指定口座に返金額を振り込んでもらえます。

自動車税の還付手続きを行う

自動車税は都道府県税で県から課税される税金です。また軽自動車税は市町村からから課税される税金となります。自動車の廃車手続きが完了したら、運輸局の同じ敷地内にある自動車税事務所で自動車税の抹消申告を行いましょう。 自動車税申告事務所にて、自動車税申告用紙を入手し、必要な事項を記入しましょう。この自動車税の抹消申告を行うことによって、自動車の廃車手続きを行った翌年度からの廃車した車に対する自動車税の納付書が送られてこないようになります。また、自動車の廃車手続きを行った翌月から、年度末(3月)までの自動車税が月割りで返還されます。 普通車であれば、納めた自動車税が申請すれば還付され、軽自動車の場合は自動車税の還付がありません。

スクラップ後は忘れずに廃車の手続きを行おう

車をスクラップにするのは大変手間がかかりますが、業者に依頼するという手もあります。しかし、その後の廃車手続きをしっかり行っておかないと、存在しない車のお金を払い続けることにもなるので忘れずに行いましょう。また、必要な書類も多いため、何度も出かけることの無いように、あらかじめ把握してから廃車を行ったほうがよいでしょう。

廃車の引き取りには費用がかかる場合も多いですが、実は無料で引き取ってもらうこともできます。どうすれば廃車に費用をかけずに済むのか、その方法を知って、お得に愛車を処分しましょう。

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